冷凍食品工場からチョコレート工場に転換ーー。2022年3月末に閉鎖されたマルハニチロ・夕張工場(夕張市沼の沢510-11)をチョコレートなど菓子製造販売のDADACAが6月に取得、10月にも稼働を開始する。夕張メロンを活用した商品展開も進める予定で、当初20人でスタート、将来的には100人程度とマルハニチロ・夕張工場と同程度の雇用を確保する。(写真は、チョコレートなどの製造を10月にも始める旧マルハニチロ・夕張工場)
マルハニチロ・夕張工場は、元々は雪印乳業の子会社ほくれい(網走市)の夕張工場として、1999年5月に操業を開始した。当時、夕張市が誘致を始めた夕張緑陽工業団地の進出第一号だった。雪印向け冷凍食品のOEM生産を中心に行っていた。その後、雪印乳業は食中毒事件や牛肉偽装事件で事業再編を余儀なくされ、冷凍食品事業は翻弄される。
2001年、雪印乳業は冷凍食品事業を雪印冷凍食品として分社、2002年に社名をアクリフーズに変更した。翌2003年にはマルハニチロがアクリフーズの全株を取得して連結子会社化。2007年、アクリフーズはほくれいを吸収合併、夕張工場はアクリフーズ夕張工場と名称が変わった。2013年にはアクリフーズ群馬工場で農薬混入事件が発生、マルハニチロは2014年にアクリフーズを吸収合併して本体に組み込んだ。これによって同工場は、マルハニチロ・夕張工場と3度目の名称変更を余儀なくされた。
それから8年、マルハニチロは冷凍食品事業の国内拠点を再編、これに伴って夕張工場は、ほくれい時代から続いた23年間の操業を今年3月末に停止した。工場閉鎖から3ヵ月、DADACAがこの工場を取得、新たにチョコレートなどの生産を始めることになった。DADACAは、ベーカリー店「アンティーク」を運営するオールハーツ・カンパニーを起業(その後、事業を売却)した田島慎也氏が、2020年11月に創業した菓子のマーケティングメーカー。
主力商品の「CACAOCAT(カカオキャット)」などを千歳工場(千歳市)で製造するなど北海道との縁も深い。本社は、東京都港区に置いていたが、8月には本社登記を夕張工場に移転、操業に向けた準備を加速させている。DADACAは10月にも稼働を始める予定で、当初は20人体制で生産を開始、将来的には100人規模に拡大する計画。シンガポールのチョコレート会社をM&Aで買収しており、夕張工場の本格稼働によって早期に年商100億円を目指す考え。