御前水ゴルフ倶楽部を運営する美々リゾート開発(本社・苫小牧市)の更生計画案が明らかになった。管財人の大川哲也弁護士と新たなスポンサーで事業家管財人のアイランドゴルフ(本社・東京都港区)が債権者である預託金会員に送付したもので、それによると弁済率は5%。破産した場合の配当率は2・8%のためそれを上回る弁済率になる。また、会員のプレー権は保護し、アイランドゴルフが美々リゾートの全株を取得して経営を担い、5年後に黒字化するという内容。(写真は、御前水ゴルフ倶楽部)
御前水ゴルフ倶楽部は、昨年3月に民事再生による再建を目指したものの、債権者である預託金会員は前経営者がそのまま経営を担うことに反発、民事再生案件として初めて再生計画案が否決され、その後会員有志は札幌地裁に会社更生法を申請して前経営者を排除した再建を模索していた。
札幌地裁は、新たなスポンサーとして全国6ヵ所でゴルフ場を運営しているアイランドゴルフが浮上したことを受けて更生法による再建の開始決定を出していた。同ゴルフ倶楽部は、アイランドゴルフによって今年7月末から暫定営業を始めていた。
大川弁護士とアイランドゴルフがこのほど債権者に送付した更生計画案の骨子は、①会員のプレー権は確保する②会員制倶楽部としての再建を目指す③預託金債権について会員を継続する債権者には5%、退会を選択したり既に退会している債権者には4%を弁済する――というもの。破産した場合の配当率は2・8%で弁済率は破産配当率を上回るとしている。
更生会社である美々リゾート開発は、既存株式を100%無償減資したうえでアイランドゴルフが全株式を取得、新資本金1000万円を出資してアイランドが経営主体になる。債権者である預託金会員は711人で債権総額は21億7047万円。
否決された民事再生計画案では、弁済率が会員継続の場合が8%、退会会員は6%としていたため、更生計画案では弁済率がそれよりも低下するものの前経営者の排除という面では会員の意思は貫徹された内容になっている。
アイランドゴルフは、ゴルフ場の経営を5年後には黒字化する考えで、2017年12月期には売上高2億9800万円、税引き後利益2300万円を計画している。
札幌地裁はこの更生計画案の議決を12月10日期限の債権者による書面投票で行うことにした。