マチの新陳代謝は、建物の解体・新築が大きな要素を占める。見慣れた建物が解体され、新しい建物が建設され、マチは生まれ変わっていく。札幌には今、中心部にも郊外にも数多くの新陳代謝の姿がある。札幌の今を記録する『札幌の今、解体ノート』の18回目は、札幌市中央区南2条西15丁目の旧「道立衛生学院」。(写真は、解体工事が進んでいる旧道立衛生学院」)
札幌市電の山鼻西線は、福住桑園通を北上して南3条通辺りからやや東に向きを変える。このスポットにあったのが、道立衛生学院。1962年に竣工した3階建ての細長い校舎では、廃止される2012年3月まで半世紀にわたって看護師や保健師、助産師の養成を行ってきた。市電の山鼻西線の開通は、昭和6年、1931年。それから約30年後に開校した同学院は、半世紀の間、沿線の街並みを形成、市電とともに街の歴史を積み重ねてきた。
2012年3月の閉院後も、札幌医科大学の建て替え工事や増築工事の現場事務所として使用されてきた。余生を送りつつも、風景に溶け込んでいた校舎の解体工事が始まったのは、2021年7月。解体を担当しているのは伊藤組土建(本社・札幌市中央区)と中山組(同・同市東区)による特定建設工事共同企業体。工期は、2021年7月14日から2022年2月28日まで。
既に、校舎の解体は9割以上進み、現在は南端にわずかにコンクリート躯体が残っているだけ。解体後には更地になり、札医大附属病院の150台収容の平面駐車場として利用される。