札幌市内を東西に走る白石藻岩通の南平岸地区から山鼻地区までの約2・5㎞が、この秋、スーパー銀座に変貌する。新たに2店舗が進出、既存の3店舗を含めて5店舗が並ぶからだ。短い距離に、これだけのスーパーが集中するのは札幌市内でも珍しい。しかも、道内スーパー3強のチェーン店にイトーヨーカ堂系や地場独立系が出揃うことになり、文字通り面子をかけた局地戦が繰り広げられることになりそう。(写真は、建設が進む「ダイイチ平岸店」)
(写真は、鉄骨が組み上がっている「コープさっぽろやまはな店」)
白石藻岩通の南平岸地区と山鼻地区の間には現在、「マックスバリュ平岸店」(豊平区平岸3条13丁目6ー1)、「北海市場山鼻店」(中央区南22条西7丁目1—23)、「東光ストアプロム山鼻店」(同区南22条西12丁目1—2)の3店舗がある。それぞれのスーパーの間隔は1~1・5㎞離れており、「マックスバリュ」と「北海市場」の間には、「南二十二条大橋」(橋長230m)も架かっていることから商圏は分断されている。
しかし、この秋に南平岸側に「ダイイチ平岸店」(仮称、豊平区平岸1条12丁目2ー1)、山鼻側「コープさっぽろやまはな店」(同、中央区南22条西10丁目1203-6)が新規出店、店舗間距離が短くなり、これまで分断されていた商圏が合体する可能性が出てきた。店舗数が少なければ、消費者は店舗をそれほど選択しないが、店舗数が増えると積極的に選択するようになり、橋を渡るという心理的バリアも低くなる。南平岸地区と山鼻地区は同一商圏になって5店舗が競うスーパー銀座になることは必至だ。
帯広に本社があるイトーヨーカ堂系の「ダイイチ」は、今度の店舗が札幌市内5店舗目となるが、認知度がまだそれほど高いわけではない。白石藻岩通沿いに掲げられたオープン告知の横断幕には、「ダイイチ」の前に「スーパーマーケット」を加えたほど。「平岸店」は、「ダイイチ」の札幌での存在を不動のものにする戦略店舗と位置付けられている。
「コープさっぽろ」にとっても今度の店舗は、最重要と位置付けられている。90年代後半の経営危機で中央区の店舗を順次撤退、小型店1店舗のみのため枢軸店としては20数年ぶりの悲願の復活出店だからだ。さらに2階には「無印良品」を誘致、今後の都市型コープのモデル店舗であり、絶対に負けられない。
迎え撃つイオン系の「マックスバリュ」、アークス系の「東光ストア」、地場独立系の「北海市場」の3店舗もこれまで以上に店舗カラーを強く打ち出し、戦線激化への対応策を練っている。「ダイイチ」は9月30日、「コープさっぽろ」は11月1日のオープンが予定されている。5店舗の面子をかけた戦いが、この秋始まる。
※2021年8月17日読者の指摘により、記事一部修正しました。コープさっぽろは現在、中央区内に小型店「植物園前店」を展開しております。訂正いたしました。