北海道には1店舗しかなく馴染みが薄いファミリーレストラン「ジョイフル」。そのジョイフルがコロナ禍の影響で、全国200店舗の閉店を発表したのは8日のこと。唯一無二の道内店舗は、存続か閉店か。(写真は、北海道に1店舗しかない「ジョイフル」の「札幌東苗穂店」)
ジョイフル(本社・大分県大分市)は、全国にフランチャイズ(FC)61店舗を含め767店舗(2020年5月17日現在)を展開している。今年2月までは売上高、利益ともに順調に推移していたが、コロナの影響で2月26日に政府がイベント自粛を要請、さらに4月の緊急事態宣言による外出自粛なとによって売上高は急減。既存店は、3月が前年同月比83・9%、4月は同44・7%、5月は同47・3%に落ちた。
同社では、緊急事態宣言解除後も第2波、第3波によって消費者の行動や外食への価値観が変化することを見越し、店舗数の25%に当たる200店舗の大量閉店を決めた。これによって財務基盤の強化と収益力を改善、手元流動性を高める。閉店は7月以降、順次実施するとしている。地域別の店舗数を見ると、地元の九州・沖縄は全体店舗数の半数強に当たる400店舗。続いて中国100店舗、中部68店舗、関東67店舗、近畿58店舗、四国45店舗、東北15店舗、北陸13店舗、北海道は1店舗となっている。
北海道の1店舗は、「札幌東苗穂店」(札幌市東区東苗穂4条2丁目5ー24)。店舗は、2018年9月に開業した複合商業施設「アクロスプラザ東苗穂」内にある。建物はエムジーリース(本社・東京都千代田区)が建設、同社のリーシングでジョイフルが進出してきた経緯がある。他に、「セントラルフィットネスクラブ東苗穂」や「サツドラ東苗穂4丁目店」、「ソフトバンク札幌東」が集積している。
地域に1店舗では、食材搬送や運営面でどうしても非効率になる。開店から1年と9ヵ月、コロナ禍が唯一無二の道内店舗である「札幌東苗穂店」の足元を揺らしている。