北海道拓殖銀行の融資に伴う特別背任で実刑判決を受けた借り手側の元ソフィアグループ代表、中村揚一氏が運営していた学校法人中村学園札幌ビューティ・メイク専門学校の建物校舎(札幌市中央区北5条東2丁目)が取り壊された。中村氏は一昨年12月に刑期を終えて出所、法人格だけが残っていた中村学園で再起を目指す動きもあったが校舎取り壊しで新たな専門学校運営の道は閉ざされたことになる。(写真は、取り壊された札幌ビューティ・メイク専門学校)
中村氏は、バブル期に理容店から身を興し札幌テルメやリゾートホテルなどソフィアグループの総帥として知られたが、バブル崩壊、それに伴う拓銀破綻で一転して刑事被告人になった。
09年11月に最高裁が札幌高裁判決を支持する判断を示し拓銀の山内宏元会長、河谷禎元頭取とともに中村氏の実刑も確定した。
中村氏は、函館刑務所に送られ、ここで1年6ヵ月の懲役を終え一昨年12月には札幌に戻っていた。
ソフィアグループは拓銀破綻以降に温浴施設経営のワンディ・スパやモーリスフランク・ジャパンなどに分かれたが破綻し、学校法人中村学園札幌ビューティ・メイク専門学校が中村氏の関わる唯一の事業として継続されていた。
しかし、生徒数の減少や厳しい経営状態が続いたため、学校法人を管轄する道は2007年ころから経営改善のための指導や助言を行ったが10年7月には経営再建のメドが立たないとして同学園も生徒55人を他の専門学校に引き受けてもらい、同学園は11年2月に廃止された。法人格と校舎のみを残していたが、その校舎も4月半ばに取り壊された。
校舎は、宮澤鋼業が建設、同学園は地代を同社に支払っていたが宮澤鋼業が破綻し民事再生に移行、スポンサーになった北武グループが新たな土地所有者となった。しかし、同学園は地代を滞納、明け渡し訴訟でも同学園は敗訴していた。
昨年末から今年1月に掛けて、同学園の校舎が市内の事務処理アウトソーシング企業などに貸し出されたこともあったが、これが最後の校舎利用となった。
中村氏は一時、法人格と校舎を残した同学園の再起を図るため、元北海タイムスオーナーで京都科学技術専門学校を運営していた山崎種三氏との連携を模索しているとも言われたが、校舎の取り壊しで専門学校での再起は事実上、閉ざされる。