「CGCからアークスへ」――この動きがより鮮明になってきた。アークス(札幌)は、昨年10月のユニバース(青森)に続き岩手県を地盤とするジョイス(盛岡)を今年9月に統合することになったが、この統合によってCGCに加入している東北ローカルスーパーのアークス入りはますます加速するものと思われる。株式交換によって経営統合する形態は、いわば形を変えたMBOとも言える。アークス傘下に入った上場ローカルスーパーは、子会社になることで株価に左右されないある程度自主性を担保された長期的な経営戦略を組むことができるようになる。(写真は、札幌市のアークス本社)
アークスは、青森県地盤で北東北の雄と言われたユニバースに続き、岩手県を中心に秋田県、青森県などに36店舗を展開する地域密着型ローカルスーパーのジョイスを9月1日から100%完全子会社にする。
ユニバースもジョイスも共同仕入れ機構CGCに加入している。しかし、CGCでは共同仕入れのメリットがあるもののナショナルブランド(NB)などでは商品調達力に限界が見え始め、NB商品の調達コストはCGC加盟社の規模によってまちまち。その結果、CGCグループ内でも強いスーパーと弱いスーパーの二極化が進んでいるのが実情。
ラルズと福原の統合によってアークスは10年前にスタートしたが、中核になっているのがCGC加入の食品スーパー。CGCと違ってアークスの場合は、NB商品をアークスとして仕入れることができ規模のメリットで調達コストを引き下げることができる。
さらに、アークスグループに入ることによって子会社が金融機関から借り入れる資金の金利も低く設定できるメリットがある。横山清アークス社長は、かつて「借り入れ金利で1%程度の違いはある」と語っていたが、金融機関同士の金利競争が激しい最近では1%の差は難しくても独立ローカルスーパーとして借り入れるよりもアークス傘下として借り入れる際の金利差が生じるのは当然。
アークスは、いわばCGCグループの強者連合ということもできる。道内でCGCグループに加盟しているもののアークス傘下に入っていないのは北雄ラッキー(札幌)とホクノー(札幌)の2社。今後、この2社がアークス入りをするのかどうか注目されるが、非CGCの西條(名寄)のアークス入りが近いという見方もでており、激しい価格競争が続く道内食品スーパー市場は再編の最終局面を迎えている。
アークスは、今後の再編の主戦場を東北と見据えているのは確か。ユニバース、ジョイスの相次ぐ統合で再編速度はスピードアップしており、今後この流れはさらに加速するものと思われる。
三菱食品との結びつきが強いとされるアークスが、同じ三菱系との繋がりが深いライフコーポレーションとの統合は、ある意味で時間の問題になってきた。
ユニバース、ジョイスの統合でアークスの年間売上高は約4600億円になる。一方、ライフは年間5250億円を売り上げており、両社の統合、あるいは合併で1兆円が視野に入ることになる。
流通業界でデパート、GMS(大規模小売り店舗=総合スーパー)に続き、食品スーパーの1兆円企業が誕生すれば、平成時代の流通革命として経済的、社会的な意義と効果は極めて大きくなる。