北洋銀行は2012年1月1日付けで観光、食、ものづくりの3分野を担当する専任部門を新設する。この3分野は道の経済成長を牽引する戦略分野。新幹線の札幌延伸やフードコンプレックス国際戦略総合特区が決まり、3分野の事業具体化に弾みが付くと見て、金融機関としてこれまでよりも踏み込んだ施策を展開できる体制を整える。横内龍三頭取は、「旗振りの段階は終わった。誰がどのような形で経済活動を実践していくかが問われる。専門性を高めて様々な動きに素早く対応できるようにする」と観光、食、ものづくりの分野の支援スピードを早めていく考え。(写真は、横内龍三頭取)
横内頭取は、北海道経済の現状について、「人口減少、事業所数の減少、雇用の減少、消費の減少と負のスパイラルに陥っている」と認識、「新幹線の札幌延伸やフードコンプレックスの決定は、こうした負のスパイラルを断ち切る好機」と捉えている。
北洋銀は従来から観光、食、ものづくりの支援を行ってきたが、「資金需要が出てきた段階で銀行の目で査定して融資や支援を行う方法では限界がある。一緒に走ってプロジェクトが動き出すときには金融機関の対応も決まっているというくらいのスピード感を持ってやっていかなければならない。のんびりしているわけにはいかない。みんなと一緒になって走らなければいけないという思いで、3分野の専任部門を設置することにした」(横内頭取)
北洋銀では、専任部門の設置と同時に起業家支援についても踏み込んだ対応を取れるように工夫する考え。
横内頭取は、「当行でもベンチャーファンドを作っていたが、結果的にうまくいったケースは残念ながらない。なぜだめだったのかを徹底的に分析して、新しい波に合わせてこれから出てくるであろう起業家をサポートしていく体制を作りたい」と言う。
ベンチャーファンドなどの投資期間はおおよそ3年間がメドとされているが、バイオなどベンチャービジネスが花開くには3年では短い。北洋銀では、他の金融機関やベンチャーファンドとも連携しながら長期間の投資期間を実現できる新しいファンドモデルも構築したいとしている。
また、ベンチャー企業に経営のプロを紹介するため、人材派遣会社とも協力するなどして支援の幅と厚みを確保する。
横内頭取は、「ベンチャー企業が過去に失敗したケースなどについても厳密に分析して反省し勉強を重ねて、来年は観光、食、ものづくりの3分野を強化していく。前向きに考えて行動し、負のスパイラルを断ち切りたい」とリーディングバンクとしての役割を積極的に果たしていく決意を固めている。