札幌市会議員選挙後に開かれた5月の臨時市議会で臨時議長として議長を従来の互選ではなく、立候補制によって決めるべきと提案するなど強引な議事で議会を9時間半空転させた松浦忠氏(79)が札幌市議会議員を失職した。(写真は、21日に開催された市議会本会議での除名を巡る投票)
21日に開かれた市議会本会議で議員資格を剥奪する除名の懲罰について、本人を除く67人の記名式による投票が行われ、賛成56票、反対11票となり地方自治法で定める4分の3以上の同意があったため除名が可決された。
松浦氏は、議員歴32年で最長老議員。地方自治法により臨時議会では出席議員の中で最年長議員が臨時議長となって議長選出までの議事を執り行うと定められており、5月13日に開催された臨時市議会で松浦議員が臨時議長に就いた。
松浦臨時議長は、議長の選び方を互選ではなく立候補制にしようと提案。それに反対する議員の動議を無視して議長席に居座り続けたため議員は退席、本会議が空転した。結局、松浦臨時議長は議長席に9時間半居座り続けた。
市議会は松浦議員の行動に対して懲罰委員会を設置、4回の審議を行って除名を決め、21日の本会議での採決となった。
本会議では、懲罰特別委員長の高橋克朋議員が委員長報告として除名妥当に至った経緯を説明。それに対して共産党と市民ネットワークが意見表明。「除名は議会の裁量権を超えて市民の一票を否定するもの」、「松浦議員の懲罰委員会での謝罪を『その場しのぎの言い訳』とするのは、事実を事実と受け止めない憶測」、「政令市では議長の立候補制を採用している」、「問われているのはわかりやすい議会」など、松浦議員の行為は懲罰に値するも除名処分は行き過ぎという意見だった。
107席ある傍聴席は8割方埋まり、除名相当の表明をする高橋委員長に対して「除名を決めた議員がおかしい」など盛んにヤジが飛んだ。
その後、議長席の前に置かれた投票箱に議員67人が投票。除名が決まり五十嵐徳美議長から松浦氏に対して除名宣告が行われ、松浦氏は議場を退席した。賛成票を投じたのは、自民党26人、民主市民連合20人、公明党10人で会派全員。反対は共産党10人、市民ネットワーク1人。賛成議員の中から1人の造反者も出ないこと自体も不透明感を一層強める結果になった。
地元白石区の支持者は、「非常に残念。長年いろいろと地域のために仕事をしてくれた。役所の顔を見て仕事をする議員が多い中、松浦さんは市民目線に立って活動していた。時には強引な方法でも、市民のためとの思いが強かった。今回の件も、土下座や謝罪をせず、最後まで主義主張を貫いてほしかった。こんなことで政治生命を終わらせてほしくない。裁判で闘ってもらいたい。まだまだ、議員活動をしてほしい」と話している。