自己破産した光星ハイヤーのタクシー90台は「譲渡・譲受」されるのか、増車意欲強い札幌エムケイの出方注目

交通・運輸

 負債8億円で自己破産申請をした札幌交通圏の光星ハイヤーが保有する90台のタクシーを巡って「譲渡・譲受」されるのかどうかに業界の関心が高まっている。札幌交通圏(札幌市、北広島市、江別市、石狩市)は、タクシー台数が需要を上回る特定地域に国土交通大臣から指定されており、事実上の増車制限が課されている。しかし、既存事業者の登録台数を「譲渡・譲受」することについては見解が分かれており、事業拡大を目指す札幌エムケイが動くのかどうか、注目される。
 
 札幌エムケイは、一昨年4月に札幌交通圏に新規参入。当時の下限運賃を30円下回る550円の運賃を道運輸局に申請し認められ、40台からスタートした。
これに対して既存タクシーの同業者団体である札幌ハイヤー協会は、道運輸局を相手どって
札幌エムケイの参入を認めたことを取り消す行政訴訟を提起し、現在も係争中。
 札幌エムケイの運賃は1年間の期限付きだが、道運輸局はこれまでに2回、550円運賃を認めてきた経緯がある。
 
 札幌交通圏のタクシー台数は2008年度で6726台。規制緩和による参入自由化によって台数は2割増加し需要を上回る状態が続いている。このため、業界団体である札幌ハイヤー協会は、法律に基づく台数削減を実施、おおむね10%の減車が行われたが、供給過剰を解消するまでには至っていない。
 
 景気低迷と東日本大震災による観光の落ち込みも重なって、折角の減車効果も相殺され実車率や1台当たりの運送収入も伸び悩んだまま。
そうした中で、光星ハイヤーが事業継続を断念し自己破産申請に至った。
 
 札幌エムケイは、札幌ハイヤー協会に加盟しておらず減車はしていない。現在は100台で営業しているが、増車が制限されているために当初の目標としていた400台には程遠い。
事業者が自ら増車する『純増』は不可能でも、既存事業者のタクシーを『譲渡・譲受』すれば全体的には『純増』とならない可能性がある。
 
 札幌ハイヤー協会の関係者は、「札幌交通権は特定地域に指定され、減車によってタクシー台数を制限し運転手や事業者の経営改善に取り組んでいる最中。自己破産した事業者の登録車両だけを『譲渡・譲受』するのは認められない」という見解。
 
 ただ、一方で破産管財人にとっては少しでも配当原資を捻出して、解雇した運転手らの未払い賃金などに当てたいと考えて当然。
 光星ハイヤーが保有する90台の車両はそのまま減車となるのかどうか。

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