道内の若手経営者を育成する「北海道経営未来塾」(長内順一塾長)は21日、札幌市中央区の札幌グランドホテルで「菅義偉内閣官房長官を囲む未来塾」を開催した。塾生ら約40人が参加した。(写真は、北海道経営未来塾で話す菅義偉内閣官房長官)
菅官房長官は、「昨日は釧路空港に降りて阿寒湖に行ったが、あんなに(長時間)クルマに乗ったのは初めて。あの地区は雪が少なくてみんなおうようというか、ゆったりしている。北海道は本当にいいなと思った」と話した。
また、「今日は倶知安町に行ったが、こんなにまで外国人が多いのかと実感した。どうしたら夏でもお客さんが来てくれるか、長期滞在に向けて様々なことを考えていることがわかった。その皆さんは『規制がひどい』と同じことを言っていた。規制は国、道、町が役所ごとに全部違う。『それを何とかしてほしい』という声が多かった」と述べた。
次に、菅官房長官は自身が総務大臣になって『ふるさと納税』を導入したことに触れ、「私は秋田で生まれて高校まで過ごして家出同然で東京に出て働き、市会議員などを経て国会議員になった。ずっと東京に住んでいるので自分の田舎と関わりを持ちたいと思っていたが、そういう人はたくさんいるだろうと考えていた。ふるさと納税は国会議員になってずっと温めていた仕組みだった」と語った上で、「総務大臣になって、いざやろうとしたら役所は全員反対。受益と負担の趣旨に反するからというのが理由だった。役所はみんなで私を説得しようとしたが全く翻す気はなかった。人生の受益と負担という考え方があっても良いと思っていたからだ。未だにシャープ税制時代の考え方と同じではおかしい。いろいろ説得してようやく創設できたが、使えないような仕組みにされてしまった」と話した。
それは、寄付するのに5000円の手数料が必要だった上、手続きがワンストップではなく煩雑だったから。「今は手数料2000円になったが、私は最初からゼロ、必要だったら1000円と言っていた。それと合わせてワンストップで利用できるようにしなければいけないと。上士幌町は、住民税の8倍くらいふるさと納税がある。寄付を受けたところが手続きをして、納税した本人が確定申告をしなくていいようにすべき。しかし、役所は『それはできない』ということで、残念ながら総務大臣の時にはそのままになっていた。しかし、私はことあるごとにずっと声を上げ続けた。ねちっこい性格ですからね」と続けた。
官房長官に就任してようやくワンストップ化が実現、「ふるさと納税はそれまで100億円台だったが、ワンストップ化になった翌年から伸びて昨年は3600億円、ようやく私の思っていた方向に近づいてきた。当初考えていたことをやるには時間がかかるし、途中でやめてしまったらうまくいかない。簡単に結果が出ないかもしれないが、自分に確かな信念があれば必要なものなら必ず実現できる。私は政治家になってから国民から見て当たり前のことを徹底的にやろうという思いでいる」と塾生たちに信念と諦めない気持ちの大切さを訴えていた。