高橋はるみ知事は、16日の道議会産炭地振興・エネルギー問題調査特別委員会の知事総括質疑で、定期検査後に5ヵ月も続いている調整運転から営業運転移行についての判断を今日17日先送りした。特別委は午後2時から担当部局による質疑の後に知事総括質疑が行われたが、開始時刻は午後10時半にずれ込み、当初16日中に営業運転を容認する予定がずれ込んだ。
特別委員会の知事総括の質疑ダイジェストを2回に分けて報告する。まず、遠藤連議員(自民党道民会議、苫小牧市、4期)の質疑から。(写真は、産炭地振興・エネルギー問題調査特別委員会の知事総括質疑に臨む高橋はるみ知事)
遠藤議員 まず3号機の最終検査に関わる北電の対応について、北電は7月8日に国から受検指示を受けたが、その時は検査申請を行わなかった。にもかかわらず2回目の8月9日に申請状況の確認とされる指摘を受けて直ちに申請を行い、安全保安院も当日中に検査に取り掛かっている。この間の経緯からすれば、道の意見も確認の上、申請すべきではなかったのかと考えるが、知事としてはどう受け止めるのか。
知事 最終検査申請の質問ですが、北電では7月8日の指導に続き、8月9日には総合負荷性能検査が未受検であるとの指摘を受け、国からの指摘は法律上の命令指針ではないが検査を受検することは事業者の法令義務であり、国からの2度にわたる指導指摘は監督を受ける立場の事業者である北電にとって重いことから受検したと聞いている。
しかしながら、道としては道の意見を申し上げたうえで最終検査の手続きを進めてほしいと考えていた。私としては、原子力発電所は道民の理解と信頼の上に成り立っていることを北電に十分に認識をしてもらうとともに、今後においてもより一層の道民の理解に務めて欲しいと考えている。今回の経緯については、遺憾であることを申し上げている。
遠藤議員 菅総理の意見によって安全保安院の最終結果をチェックするため原子力安全委員会がかかわることになったわけだが、安全委員会は保安院の報告を聴取したのみで、これはダブルチェック、二重のチェックをすることによってより厳しい検査をする形にはなっていないのではないか。安全保安院、安全委員会の2つのチェックで本当に安全性が担保されたのかどうか。信頼できるのかどうか、疑問である。
知事 原子力安全委員会の確認についてですが、原子力安全保安院では泊3号機については、調整運転が5ヵ月と長期に及んでいたことに鑑み、さらなる安全性の向上と安全の信頼性の確保の観点から定期検査プロセス及びその結果について原子力安全委員会に報告して、安全管理上の有為事項について意見を求めたところであります。私としては
今回の泊発電所3号機の最終検査について法律に基づく報告ではないわけですが、原子力安全委員会の確認プロセスが加えられたことは安全性の確保の観点から評価できるものと考えている。
遠藤議員 保安院と安全委員会は近いうちに再編統合されて環境省に置かれる。いずれなくなってしまう組織のチェックが果たして信用できるものなのか、疑念が消えない。これは私だけではないと思っている。これからの対応についてだが、地元協議について、再稼動なら4町村との合意が必要との答弁が先ほどあった。知事は先日の記者会見で、まずやらなければならないのは地元の意見集約であると述べている。知事の言う地元とは4町村とその周辺と受け止めることができる。逆の言い方をすれば再稼動でないのであれば地元協議は必要ないとも読める。その一方で、地元の意見集約を図りたいと言っているのは矛盾するのではないか。むしろ、4町村を含め管内市町村との協議を積極的にやっていくべきだと思うが見解は。
知事 私としては本日の議会の議論を踏まえ道の考え方を整理し国に伝えるが、その過程に置いて安全協定を締結している4町村との間では、再稼動に当たって協議をすることとしていた経過から泊3号機の取り扱いについて共通の認識に立つ必要があるものと考えている。再稼動に当たるかどうかに関わる道の考え方について、4町村に確認をしていく考え。後志管内の市町村については、4町村が得ているものと同様の情報を提供している。
今回の泊3号機の道の考え方についてもこれまで同様に迅速な情報提供を行っていく。これらのプロセスを図った上で国に対して道の考え方を示す。
遠藤議員 4町村以外の管内市町村にはこれまでの道の対応に疑問の声が上がっている。今後とも関係市町村との信頼関係を維持するためには何らかの形で4町村以外の配慮が必要なのではないか。地元協議以外にどのような手続きを考えているのか、また何らかの枠組み必要と考えているのか知事の見解は。
知事 再稼動に当たっては安全協定を締結している4町村と協議をすることにしているが、後志管内の市町村においては今回の福島原発事故以来、原発の安全性の関心が高くなっていることから、今後後志管内自治体との一層の意思疎通を図るため、通報連絡協定を含め、情報の共有や共通理解の醸成を図る連携体制の構築に向けて早急に関係自治体と検討を行ってまいりたい。
遠藤議員 答弁と実態が伴っていない事実がある。 国と北電は地域の住民感情とは乖離した動きをしたそしりは免れない。このような国や北電の対応を見ていると今後迎える1号機、2号機の再稼動に対する議論の際には、道はたとえ権限が及ばないとはいえ、国や北電の対応に重大な関心をもって臨まなければならないと考える。3号機に関する判断は、1、2号機の再稼動の判断や大間原発に影響を及ぼすものではないということであったが、今後1、2号機の再稼動が議論の俎上に上がった際、道は国と北電にどのような対応を求めていくのか見解を求める。
知事 1、2号機の再稼動について泊1号機については現在定期点検中であり2号機も今月中には定期点検に入る。私としては原子力発電所に関しては何よりも安全を優先し道民の不安の解消に務めながら対応すべきものと考えている。特に1、2号機については、今回と異なり再稼動に関わる慎重な判断が必要になるということから、国および事業者に責任を持って安全対策に万全を期すとともに地域に対する情報提供などについてもこれまで以上に丁寧に行うことなどにより、道民の理解を得ながら進められるように強く求める。
遠藤議員 知事の今後の対応だが、これから知事は道として判断し、国に報告する前に道民に説明する答弁があったが、知事はいつ国に報告する考えなのか。また、その前段として道民への説明は具体的にどのような手順によって行うのか。
知事 泊3号機の道の考え方は、私としては当委員会の議論を踏まえ道の考え方を整理したうえで、国に伝えていく。それに先立ち道の考え方について、地元4町村に確認するとともに、後志管内市町村に対し丁寧な情報提供をおこなったうえで、道民の皆様方に対して、その考えに至った経緯や理由などについて記者会見を開催し、私自ら丁寧にご説明したいと考えている。
遠藤議員 これまでの一連の議論について、私や私ども会派としていろいろ意見が出された。代表的なもの2点について指摘しておく。一連の経緯の中で、3号機と1、2号機、大間原発との関連について聞いたところ、3号機に関する判断は1、2号機や大間原発の判断に影響を及ぼさないという担当部の答弁があった。知事からは1、2号機に掛かる慎重な判断が必要になることから、国および事業者に対して安全対策に万全を期すとともに情報提供にこれまで以上に丁寧な対応を求めるとの答弁があった。
しかし、3号機の最終検査に関わる国及び北電の対応は地元への丁寧な対応とはほど遠く、国による申請状況の確認として指摘を受けて北電はただちに受検申請を行い、安全保安院も待ちかねていたかのように申請当日に検査を開始し翌日に検査を終了しており地元意向は省みられなかった。加えて安全保安院も原子力安全委員会も承認した中で、道議会に意見を求められているわけだが、まるで外堀を埋められたような形での議論は極めて不自然といわざるを得ない。
経産大臣から知事に判断を求められてから、短期間のうちに道議会に意見を求められてもこの時期、物理的に不可能でありもっと時間をかけた慎重な対応が必要ではなかったのかと我々は考えている。
泊1、2号機や大間原発の判断に当たっては、今回のような対応を改め、道として国や事業者に丁寧な対応を求めるように指摘しておきたい。
道に対して4町村以外の市町村への丁寧な対応を求めたところ、今後通報連絡協定を含めた情報の共有や共通理解の醸成を図る体制の構築に向けて早期に取り組むとの答弁があったが、、4町村と同じ内容の情報であるのか、不信感を表明している首長もいる中、丁寧な対応とはいいがたいところがある。地元市町村との信頼関係を保つためにもしっかりとした対応を図るように求めて私の質問を終える。
(以下は明日に掲載)