札幌の弁護士兼公認会計士の杉山央氏(37)がタクシー内で暴れた事件で14日、札幌中央署は杉山氏を暴行と器物損壊の疑いで書類送検した。ドライブレコーダーの映像と共に全国ニュースになったが、酔っぱらっていたとはいえ、人としてやってはいけないことを行った杉山氏の非は拭いようがない。法を守るべき弁護士という職業を考えればさらに非は重くなる。(写真は、札幌弁護士会の入るビル)
杉山氏は、札幌、北海道では新進気鋭の企業法務、株式公開に関する弁護士としてベンチャー企業などの信頼も厚かった。理論と実践の両面に基づいて助言などを行い企業関係者も一目置く存在だった。
こうした存在ゆえに関係する人は下から接してくる。丁々発止、杉山氏に直言する関係者がいたかどうかはわからないが、少なくともかの事件を報道で見る限りそうした人はいなかったのだろう。
できる人が陥りやすい過ちは、過信のひと言に尽きる。過信を自分で制御することはおそらく難しいのだろう。失敗や居場所を変えることでしか自分を客観視することはできないのかもしれない。多くの人が杉山氏の過信を嗅ぎ取っていたはずだ。杉山氏の事件は起こるべくして起こったように見えてくる。直言してくれる友人や関係者が周りにいればこんな結果にはならなかっただろう。
杉山氏の事件が、弁護士業界のみならず北海道、札幌のベンチャー界に泥を塗ったことは間違いない一方で、その損失も大きい。過ちを悔い血肉に浸透させて再起を図ることができるだろうか。