札幌市厚別区で食品スーパーを展開しているホクノー(本社・札幌市厚別区)は、旗艦店の「中央店」(もみじ台北7丁目)が入っている「もみじ台ショッピングセンター(SC)」に、11月6日から「健康ステーション」を開設する。経済産業省の補助金を得て行う地域住民の健康寿命延伸を図る実証実験で、来年2月ころまで実施、成果と事業性が確認できれば本格的に取り組むことにしている。(写真は、ホクノー中央店が入っているもみじ台ショッピングセンター)
今回の実証実験は、凸版印刷が考案したスキームをホクノーが具体化するもので、もみじ台SCを核にしてもみじ台団地など周辺に住む高齢者の健康寿命延伸に向けた地域包括ケアシステムの体制づくりの一環。厚別社会福祉協議会やもみじ台自治連合会も協力し、すべて無料で行う。
もみじ台SC2階のゲームコーナーを縮小して空いたスペースに「健康ステーション」を開設する。常駐の相談員が血圧や体重を測定、定期的に医師や保健師が派遣され健康相談も行う。札幌北辰病院、新さっぽろ脳神経外科病院、札幌ひばりが丘病院と連携して測定データに異常があれば受診できるようにする。
スマートフォンのアプリを使って歩数に応じてポイントが貯まるシステムも採用、ホクノーのポイントと合算して中央店で買い物に利用できるような工夫もする。「健康ステーション」の横には、スマホ教室や体操教室、食と健康のセミナーなどが行えるスペースも確保、高齢者の交流を深める場も設置する。
また、MIKAWAYA21(本社・東京都港区)とも連携し、シニア向けに「まごころサービス」も行う。これは電球交換など1人暮らしの高齢者の生活をサポートするサービスで、今回はポロワッカ(札幌市中央区)が担当する。
さらに、MIKAWAYA21の「MAGO(まご)ボタン」も50人に無償貸与。このボタンは1回押すと生活情報が流れ、2回押すと緊急呼び出しができるボタンで、使い勝手などを確認する。
もみじ台地区は市が1968年から80年にかけて造成した団地と一戸建ての住宅街で、新札幌地区からも離れている。このため、もみじ台SCは地域の唯一ともいえる商業施設。ピーク時の85年には2万6000人だった人口は1万5000人に減少、高齢化率も44・8%と札幌では最も比率が高い。
ホクノーは、地域住民の健康をサポートする事業展開を模索、昨年10月には同SC1階に健康に配慮した食事を提供する「健やか食堂」をオープンしている。今回、地域包括ケアを見据えた健康寿命延伸の拠点としてもみじ台SCを活用、スーパーの社会的役割を追求していく。