道議会は17日、正副議長を選出、第28代議長に自民党・道民会議の喜多龍一氏(59、十勝管内)、副議長に民主党・道民連合の三津丈夫氏(65、帯広市)が正式に就任した。正副議長は、前日の各会派内の調整や投票で候補者が絞られており、この日は議場を使ったセレモニー。午前10時半から始まった議員一人ひとりの投票によって約1時間で正副議長が選ばれた。
任期前半の2年間は喜多―三津の体制で道議会が取り仕切られる。(写真は、道議会で行われた議長選挙)
道議会は午前10時の開会が30分遅れてスタート。最初に議長選挙が行われ、議場閉鎖や立会人道議の指名、投票箱の点検が行われた後に104人の道議に投票用紙が配られ、単記無記名による投票が行われた。
その結果、喜多氏が103票、竹内英順氏(51、上川管内)1票という結果になり喜多氏が議長に選出された。喜多氏は演壇に立って挨拶をした後に議長席に座り、初仕事として副議長選挙を取り仕切った。
副議長選挙の結果は、三津氏102票、田村龍治氏(59、胆振管内)1票、林大記氏(59、札幌市南区)1票で三津氏が正式に副議長に選出された。
今回の正副議長選びは、とりわけ議長候補者を絞り込む過程でかつての派閥やグループの力学が働かなくなったことを典型的に現している。
議長候補は、喜多、船橋利実氏(50、北見市)、竹内の3氏に絞られたが、自民党・道民会議の議員心理は『船橋氏と竹内氏は決戦投票に残るから、少しは喜多氏に票を回そう』というものだった。喜多氏のコアになる勉強会には4人くらいの議員しかいないが、何とか2ケタの得票にしないと格好が付かないと、その4人が喜多氏への支援を各議員に要請。
1回目の投票で、上位2氏に選ばれたのが喜多氏と竹内氏だった。竹内氏はよもや船橋氏が脱落するとは想定していなかったため、船橋票を振り向ける作戦は白紙状態だった。
決選投票の結果は喜多氏26票、竹内氏25票。札幌市内の道議は、「竹内氏の完全な作戦ミスだろう。結果に一番驚いたのは喜多氏本人だろうが、今回の議長選びは派閥やグループの縛りがなくなったことを示している。今後はますます日ごろの議員活動をしっかりやっているかどうかが議員同士の評価尺度になってくるだろう」と語っている。
派閥、グループはかつて道議会では常識だった。派閥の弊害が言われたときもあったが、会派内での緊張感や力学を生み出してきたことは事実。
今回の議長選びでは、派閥・グループの緊張感や力学とは無縁だった。吹いたのは楡の木のそよぎ程度の風。これでは、議会改革もさることながら道政へのチェック機関として道議会の存在がますます道民から遠くなってしまう。
酪農学園大で地方自治を研究している河合博司教授は、「知事部局の執行機関と道議会は二元代表制として車の両輪。議会の緊張感や力学がなければ、執行機関へのチェック&バランスが十分に果たせなくなる」と懸念する。