したたか日ハム相手に始まる札幌市と北広島市のチキンレース

社会・文化

 札幌市が、プロ野球北海道日本ハムファイターズに新ドーム候補地として、道立産業共進会場(ケーズデンキ月寒ドーム)跡地周辺と北海道大学構内の2ヵ所を候補地とする提案を13日に行った。北広島市は、先行して昨年12月に「きたひろしま総合運動公園」を候補地として提案、既に球団側と本格協議を始めている。候補地は3ヵ所に絞られたが、したたかな日ハム相手に札幌市と北広島市のチキンレースが始まる。学園(写真は、札幌市がドーム候補地して日ハム球団に提案したケーズデンキ月寒ドーム周辺)

 昨年5月、日ハムが新ドームの建設構想を明らかにして始まった自治体や住民団体の誘致合戦。最初に誘致を表明した自治体は北広島市で、日ハムが構想を明らかにしてからわずか1ヵ月後というスピード対応だった。

 それに対して札幌市は、これまで日ハムが本拠地にしてきた札幌ドームの環境改善や日ハムの事業環境改善など、譲歩すべきところは譲歩したものの結局、年末に開かれた市、札幌ドーム、日ハム、北海道コンサドーレ札幌のトップによる4者協議で「札幌ドーム残留なし」が確認された。札幌市は、市内に引き留めるべく候補地選定を猛スピードで進め、なんとか前述の2ヵ所に絞った。
 北広島市の誘致表明から遅れること10ヵ月、ようやく札幌市も日ハムとの交渉テーブルに着いたわけだ。
 
 広さ、アクセスなど候補地3ヵ所には一長一短がある。こうした立地環境以上に必要になるのは、おそらく自治体側が日ハム側にどんなインセンティブ(誘因)をどれだけ示せるかだろう。端的に言えば土地使用料や固定資産税だし、ボールパーク構想なら商業施設や宿泊施設に必要な周辺環境整備、もちろん用途地域の変更も必要になる。

 相手は日ハム。同社を知る関係者の多くは「したたかさ」を強調する。「強さ」、「楽しさ」、「誇りと文化」を商品にするスポーツビジネスの真性は、行政にとってまさに中身の見えない暗黒大陸に映っているに違いない。

 札幌市の秋元克広市長(61)と北広島市の上野正三市長(69)は、世論を背に日ハムとの交渉に臨むことになるが、両市がどこまでインセンティブ提示に踏み込めるかというチキンレースにも例えられそう。日ハムは、来年3月までに結論を出す。世論の風向きを微調整しながら進まなければならない両市長は、自分の選挙以上の焦燥にかられるかもしれない。

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