札幌市中央区宮の森地区で2016年春から地域住民と高級マンション建設を進めていた中国系不動産会社、海潤(ハイルン、本社・札幌市中央区)との間で浮上した違法民泊問題が平行線のまま越年する。宮の森地区には「違法民泊反対」の立て看板が15ヵ所も設置されており、同地区はこの立て看板とともに新しい年を迎えることになる。(写真は、「違法民泊反対」の立て看板の横に完成した「雅殿1」)
海潤が建設したマンション「雅殿1」は、1戸1億円の高級マンション。総戸数は5戸で用途地域に応じた高さや容積率で、建築基準法など法的には問題のない建物。建設が始まった3月に海潤側は住民説明会を開催。その内容をもとに地域住民らで組織する「宮の森の環境を考える会」は、海潤との間で違法な民泊をしないことやマンション住人は地域のゴミ出しなどのルールを守って迷惑な騒音などを出さないことなどを謳った協定書の取り交わしを提案した。
当初、協定書締結に前向きだった海潤だったが、その後は同会の申し入れに沈黙を貫く。同会は札幌地裁に調停申し立ても行ったが、海潤は調停参加の意思がないこと、民泊防止の協定を検討することもできないと表明して調停は不調に終わった。
同会と海潤の話し合いが進まない中、建設段階から中国人実業家たちが全戸を購入、10月ころに建物は完成した。しかし、12月に入っても購入者が住んでいる気配はなく、民泊利用者が出入りする形跡もないという。
しかし、同会の会員や地域住民たちは海潤との交渉経緯から民泊利用の疑念は拭えないと考え、建物が完成した10月ころからマンション周辺など15ヵ所に「違法民泊反対」の立て看板を掲げ、意思を明確に示すことにした。
そんな中、11月下旬には奇妙な“事件”も起きた。当の高級マンションの敷地内に「違法民泊反対」の立て看板が立ったのである。同会会員がマンション敷地内に建てるはずもなく、海潤側の意向が働いたのは明らか。同会が用意した「違法民泊反対」の立て看板と文字の色が違っており、海潤側が同会の立て看板に似せて作ったとしか思えないような“事件”だった。その立て看板の意図について、同会から海潤側に文書を送付した数日後、その看板は高級マンション敷地内から撤去された。
宮の森地区の違法民泊問題は、解決の糸口さえ掴めないまま「違法民泊反対」の立て看板とともに2017年を迎える。(次回に続く)