NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)は25日、札幌市中央区の札幌国際ビル8階の国際ホールで、「NEDOフォーラム2016in北海道」を開催した。北海道での開催は一昨年10月以来で、行政や研究機関などから約150人が参加した。(写真は、AIについて講演する中島秀之氏)
この日のテーマは、「未来を拓く技術開発を支援」で、ベンチャー、中小・中堅企業への各種支援制度が紹介された。最初の特別講演は、東京大学大学院情報理工学系研究科特任教授で2004年から16年まで公立はこだて未来大学学長を務めた中島秀之氏が、『人口知能研究(AI)の現状と未来~AIが産業や社会に与える影響と今後の展望~』と題して約50分間講演した。
中島氏は、AIが可能にする新しい社会システムは、思いつけばなんでも可能になる社会だとして、「新しい会社や社会、企業の形態によって柔軟な組織運営ができるようになるため、学会や大企業、商社など不要になる可能性がある。資本主義や民主主義の在り方も見直せるかもしれない」と述べた。
2045年ころに、コンピューター1台が人間の脳の処理能力を超えるとされているが、「AIが人間を超えることはない。ともに賢くなることはあるだろう。今後のAI研究の方向性は、独立知能から環境の重視へ、個から社会へという流れであり、これらはいずれも東洋思想的な方向性だ。日本の出番ということができる」と話していた。
フォーラムでは、NEDO事業の活用事例としてスマートスーツを開発したスマートサポート(札幌市中央区)や世界初の自閉症スペクトラム障害治療薬および関連事業の事業化を目指してNEDO支援を受け昨年設立されたベンチャー、スカイシーファーマ(札幌市北区)が紹介された。