池上学園池上公介氏「食と夫権の欠如」が双子の危機 「人間社長塾」合同大会で喝破

社会・文化

 土屋ホールディングス(HD、本社・札幌市北区)の土屋公三会長が主宰するワンランク上の経営を目指す「人間社長塾」の合同大会が22日、同社8階会議室で開催された。1期生から現7期生まで約80人が出席、記念講話を聞き入った。IMG_5713(写真は、食の乱れと子どもの学力への影響について話す池上公介氏)

 外部講師として最初に講演したのは、池上学園の池上公介理事長。テーマは、『食の細道、広い道』。池上学園では高校を受験する生徒たちの寮を用意しているが、池上理事長は「子どもたちの寮生活を通じて食の危機と夫権の欠如という2つの危機を感じる」と話す。
 
「いわゆるジャンクフードばかりで、まともな食事を食べたことがない子どもたちが如何に多いことか。行動がおかしい子どもは決まって変な食歴がある」と指摘。寮生活を通じて食生活を改善していくとホウレンソウや味噌汁を食べることができるようになるという。
 
 そうすると決まって父親がやってきて「子どもには好きなものだけ食べさせて欲しい。そのために専用のコックを雇っても良い」と言ってくるそうで、「『そうじゃないでしょう』と言うと、お父さんはちゃんとわかっている。でもお母さんに言われて仕方なく言いに来る場合が多い」と述べ、家庭で夫権が失われている実態を示した。
 
 非行に走り、手が付けられないような子どもたちが池上氏の元で立ち直っていくことについて、「ベースにはきちんとした食事を摂ることと親や教師など大人が子どもたちの良い面を認めて褒めること。とりわけ子どもたちは母親に認めて欲しいもの。そうすれば必ず良い効果が出てくる」と語っていた。
 
IMG_5719(写真は、北原電牧を事業承継した経験を話す北原慎一郎氏)
 
 続いて元北原電牧社長で現在は札幌商工会議所にある北海道事業引継ぎ支援センターの北原慎一郎氏が、『企業の円滑な事業継承について』をテーマに講演した。北原氏は父親から引き継いで約40年間トップを務めた北原電牧を後継者不在のため5年前に前田工繊(福井県坂井市)にM&Aで事業譲渡した経験を披露した。
 
 北原氏は、「事業承継で大前提になるのは、社長の座を継ぐ時期の日付をはっきりとさせておくこと。継がせる方と継ぐ方の『近いうち』はかなりの開きがある」と話した。また、事業承継が全国的な課題になっていることから国の制度も緩和され納税猶予が充実していることを説明したほか、非親族が株を買い取るMBOも現実的な手法だと紹介していた。

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