公益財団法人北洋銀行中小企業新技術研究助成基金(愛称・北洋銀行ドリーム基金)は17日、平成27年度の助成金贈呈式を札幌市中央区のホテルオークラ札幌で行った。道内中小企業の優れた技術や研究を公募し、選考を経た企業に1件100万円の助成金を贈呈するもので今年が27回目。基金の横内龍三理事長(北洋銀会長)から各社に盾と目録が贈られた。(写真は、横内理事長=左から助成金目録を受け取る助成先社長)
今年度は道内から55件の応募があり、ノーステック財団(公益財団法人北海道科学技術総合振興センター)の西岡純二専務理事が委員長を務めた技術審査委員会で技術開発や製品開発の新規性、実現可能性、社会貢献度などをチェック。同委員会で選ばれた10社が基金理事会で助成先に決定した。
10社の中には、増え続けているインバウンド向けに、スマートフォンで写真撮影した画像を簡単にポストカードにできるアプリを開発したアジェンダ(札幌市北区)や磯焼けのメカニズムを海中で探ることが可能な光ファイバ利用の海洋環境モニタリングシステムを開発したエコニクス(札幌市厚別区)、自動車部品向けに需要が見込める真空装置部品向けアルミニウム鋳物製造技術を開発したケーアイシー(亀田郡七飯町)などがあり、ITからものづくり産業、農業機械まで幅広い業種に及んでいる。
横内理事長は、「人口減少社会を迎える地域としてはどうやって今後の地域の将来展望を構築していくかが大問題になっている。今回助成先に決定した各企業の研究開発の成果が、生産性の向上やニュービジネスの開拓に繋がって行くと期待される。今後も北海道の活性化、創生のために歩んでいきたい」と話した。
なお、助成金総額は今年度で1億3100万円になり助成先もトータルで131件になった。
■平成27年度助成先と研究テーマは次の通り(上記3社除く)
▽アーストラストエンジニアリング(札幌市白石区)「アースジェット工法の問題点解決と海外事業展開に向けての特許技術流出防止のための具体的対策の検討」
▽アイ・ティ・エス(札幌市東区)「災害対策・交通基盤の自治体向け履歴データベースシステムの研究開発」
▽e.c0t(札幌市白石区)「2kg/㎡以下の吊り天井システムの開発」
▽菅製作所(北斗市)「光放出電子顕微鏡MyPEEM用高温観察ユニットの開発」
▽ディ・ビー・シー・システム研究所(札幌市北区)「アルモニウムの湯溶浸食と高温酸化の耐性に優れた部材の開発」
▽トラスト機工(帯広市)「新品種のながいもに対応した耕土用ホイールトレンチャーの開発」
▽飛栄建設(札幌市豊平区)「大型構造物が破壊するリスクを予知し可視化するセンサの開発」