アークスの横山清社長(75)とコープさっぽろの大見英明理事長(52)が昨年末にアークス本社で会談していたことが明らかになった。大見理事長からの申し入れで2人だけの会談となったものだが、道内食品スーパーの2強として戦っているトップ同士が1時間半以上に亘って会談したことで様々な憶測が広がっている。
(アークス横山清社長・左とコープさっぽろ大見英明理事長)
会談が行われたのは、昨年12月中旬ころ。大見理事長がアークス本社を訪れて、9階にある横山社長の執務室で2人きりで様々なことが話し合われたという。
持ち株会社として傘下に帯広・福原や旭川・ふじ、函館・道南ラルズなど地域子会社を持ち、道内各地で食品スーパーを展開するアークスと全道統一を成し遂げたコープさっぽろは、道内流通の2強として食品スーパー業界を牽引している。
商品仕入れ力や価格決定力では2強が食品スーパーの趨勢を決めているといっても良い。
その2強を率いるトップ2人がアークス本社で会談したとなれば、様々な憶測を呼ぶのは当然。横山氏と大見氏は、業界の会合やメーカーの会合では顔をあわすことはあっても、個別にツートップがさしで向かい合うのは極めて珍しい。
過去、2人が会合等で顔をあわせれば、いつも何かが起きていた。例えば、数年前の某メーカーによる米国研修旅行。ここで、多数の参加者とともに横山氏と大見氏の腹の探り合いがあった。
米国から2人が帰国すると、早速動きがあった。窮地に陥っていた室蘭の食品スーパー、志賀綜合食料品店の継承を巡ってである。結果的に、コープさっぽろが志賀を引き継ぐことになったが、トップ2人が顔をあわせることは、業界に何かが起きる前触れと捉えられている。
アークス傘下のラルズとコープさっぽろは、横山社長と元理事長の河村征治氏がともに北大出身、恵迪寮で過ごした仲間同士ということで札幌市内ではお互いの店舗の近くには進出しないという相互不可侵のような関係があったという。
横山氏が金市舘と合併する前の大丸スーパー時代、退社の瀬戸際にあったときには、コープ入りが確実という話も流れるなど、横山―河村の紐帯は想像以上に強かった。その同士的な絆は現在も保たれている。
コープさっぽろはその後の経営危機で理事長が日本生協連合会から2代続けて送り込まれ、再建の目途が立ったことから4年前に生え抜きとして大見氏が理事長に就任している。
大見時代に入ってからは、2強と呼ばれるようになり、アークス―道銀、コープさっぽろ―北洋と色分けされたり、商売に徹するアークス、社会貢献を前面に打ち出すコープさっぽろというように、2強の志向が両極に分かれ水と油の関係のように語られている。
その注目の2人が1時間半会談したことは、単なる表敬訪問とは考えられない。漏れ伝わってきているのは「旭友問題」とされている。旭友問題とは、コープさっぽろが昨年初めに引き継いだ旭川基盤の食品スーパー、旭友ストアーのこと。
いったい、何が起きるのか。