札幌証券取引所にサッポロドラッグストアーが新規上場した。札証が進めている重複上場の一環で、今年に入って新規上場は3社目。サッポロドラッグストアーは、大証ジャスダックに上場しているが、道内を基盤に活動しているため、道内株主を増やしたい目的もあって重複上場することにした。
札証に上場している道外企業の多くは東証との重複上場でここ数年は札証との重複上場を返上して東証1本に上場を絞り込むケースが多い。
これに対して札証は上場手数料を無料にして道内企業の札証への重複上場を積極的に働きかけている。札証は地方証取の中で最も規模が小さいものの、証券取引所が北海道に存在していることは道内経済に大きな意味を持っている。
ジャスダック市場は、店頭公開と呼ばれた時代から上場が比較的容易だったため、道内企業の多く店頭公開市場に株式を公開している。店頭公開から東証2部、1部へとあがっていくため、店頭公開した道内企業の多くは札証を経由することなく東証上場への道を選択していた。
このままでは札証の展望が見えないとして昨年、札証の活性化を目的に設置されたのが資本市場会議。なにやら、いかめしい名称だが「札証活性化会議」としなかったのには札証事務局の深謀遠慮があるのだろう。
この資本市場会議は札証にとっては画期的なタスクフォース。というのも、そのメンバーには行政や金融機関、経済界が入っているからだ。札証の活性化が叫ばれて以降、かなりの時の経過があったが初めて産業界と行政が一つのテーブルについた。
その中から出てきたのが上場手数料を無料にして道内に基盤を置く東証やジャスダックの上場企業を重複上場で札証に呼び込もうというものだった。
この狙いは当たった。道内を基盤にしている上場会社が札証を振り向かないで道内経済の活性化など有り得ない。上場会社には利益追求と同時に地域貢献も大きな仕事だからだ。
札証重複上場はこれまでにアークスとアインファーマシーズがある。そして、今回のサッポロドラッグストアーといずれも社長が大株主というオーナー的な会社が決断するケースが続いている。この流れを太くするためにも4番目、5番目と札証重複上場を絶やさないことが必要だ。
もちろん、未上場の道内企業に上場を促すことも大切。アンビシャス市場への上場が2008年2月のインサイトからほぼ3年間塩漬けになっているのは、新興市場を取り巻く全国的な環境と無縁ではないが、札証には何とか金の卵を発掘して欲しい。
新規上場と重複上場を両輪に北海道経済のインフラとして札証の存在意義を一丸となって高めていくことが必要だ。
(写真は、サッポロドラッグストアーの札証重複上場の記念セレモニー。中央で上場通知書の入った額を持っているのが富山睦浩社長)