札幌証券取引所が開設60周年を迎えたことから、記念講演会を11月18日に開催する。札証はおよそ3ヵ月に2度の頻度でセミナーや講演会を開催しているが、上場会社のIRやIPO(新規公開)に関するものが中心。
今回、60周年の節目であることから初めて経営者論に的を絞った講演会を催すことにした。「新規上場会社を巡って架空増資などの事件が起こっているが、経営者の資質は公開会社にとっては大事な問題。あらためて今の時代に必要な経営者のあり方について講演してもらうことにしました」と定登専務理事。
札証が開設されたのは、昭和25年4月。戦後間もない時期で北海道も混乱していたが、日本の復興を支える石炭や食糧などの供給基地として北海道の役割が期待され、北の経済の砦として証券取引所が開設された。当時は、ソ連の脅威がまだ残っていたが、資本主義の象徴ともいうべき証券取引所を札幌に設置することで、共産圏への牽制という意味も込められていたという。
60年の節目を迎えた今年、札証は記念行事を検討したが「景気が低迷しているこの時期に派手なイベントは控えよう」という札証内部の声もあって、札証の会議室を利用した記念講演会に落ち着いた。
記念講演会の1部では国際財務報告基準(IFRS)導入に向けて、企業のトップマネジメントに何が求められているかを有限責任監査法人トーマツ札幌事務所の齋藤寿徳氏と弓立恵亮氏が講演、道内企業の導入事例などに触れながら具体的に解説する。
2部は東日本旅客鉄道の社長、会長を歴任した松田昌士相談役が「今求められる経営者像」として講演する。松田氏は北見市出身の北大法学部卒。国鉄入社後に分割民営化の国家プロジェクトの中枢で働いてきたことから、経営者のあり方や考え方について自らの経験をもとに講演することになっている。
記念講演会への参加は、札証総務部(電話011―241―6171、Eメールipo-corner@sse.or.jp)へ。
(写真は、札幌証券取引所)