札商高向会頭に聞く「北海道が生きる道」②

経済総合

――会頭は、教育の必要性を強く主張されていますね。
高向 教育の問題は非常に大切だ。単純労働では他の国に賃金等で叶わなくなるのは間違いない。幸い、北海道には全国に誇るユニークな大学が多い。産学連携も徹底することによって、大学教授にも経営の感覚を持って欲しい。
――北海道が生き残る道は、観光、農業が鍵になると言われますが、このことは少なくとも数十年前から言われていることです。果たして観光、農業が北海道の救世主役になるのでしょうか。


高向 観光や農業が北海道を牽引していくのは間違いないが、「必要だ」「育成するべきだ」と総論で言うだけでは根付かない。大事なことは、地べたを張って実際に動かないとダメだ。
北海道米の道内消費率(食率)を引き上げるために、農業団体と共に経済団体も具体的に運動をした。街頭に出て北海道米を配るなど札商でも職員が知恵を絞って行動をした。そうした具体的行動の結果として、北海道米の消費率は高まっていった。厚生年金会館の存続についても、必要性を説く葉書作戦や引き受け先に対して粘り強く説得するなど行動の総和として、厚生年金会館は存続させることができた。
新幹線についても具体的に動くことが必要で、JR北海道の在来線経営分離に反対している西尾正範・函館市長を訪ねて直談判し新幹線誘致キャンペーン運動に参加してもらったこともある。
――北海道には危機感が足りないという指摘もあります。
高向 先日テレビの討論番組を録画でみたが、道内の政治・経済人が出席して様々な議論が出ていた。最後に司会の田原総一郎氏は、『北海道には危機感が足りない』と総括していたようだったが、確かにその指摘は当たっているのではないか。
――オール北海道で北海道再生に取り組まなければならないですね。
高向 北海道はどう生きていけばいいのかという強いリーダーシップが必要になる。強い信念と強い行動力が北海道の危機を救う必須の条件だ。
(この項終わり)

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