道産米の食率(食べる量の割合)を向上させようと道の農業団体や商工団体、道などが取り組んできた“米チェン”は大成功、道民が食べる道産米の食率は3割強から5年ほどで7割強にも増えた。この運動にあやかって道や関連団体が昨年から取り組んでいるのが、道産小麦の使用率を高めようという“麦チェン”。
しかし、この麦チェン、昨年は小麦の不作で躓き、「今年こそ」と関係者は意気込んで臨んだものの、どうやら2年目も不作に見舞われそう。麦チェンは2年連続で不発に終わりそうな雲行きだ。
道の農畜産物の作柄を注視している道農政部の東修二部長は「5月は天候が悪かったが6月に一気に高温になったので、体が大きくならずに実が育ち倒伏している小麦畑が多いようだ」と嘆く。
秋まき小麦が多い十勝地域では4割減にもなりそうで、春まき小麦が多い道央地域でも同様の減収になりそうだという。
小麦不作でも価格は殆ど変動しない。というのも、小麦は播種前契約方式が採用されていて、種を撒く前に実需者と契約して価格を決めてしまうからだ。ただ、実需者側はその小麦を当てにして生産計画を立てているから道産小麦が予定通りに手に入らなければ、外麦(輸入小麦)に頼らざるを得なくなる。
外麦もロシアの干ばつによる不作でロシア産小麦の禁輸措置がとられているものの、日本はロシア産小麦を殆ど輸入しておらず多くを米国、オーストラリア、カナダから調達。今年は米国産小麦が豊作のため外麦の価格はそれほど高騰しないという見方がある。
道産小麦の多くは、うどんや食パンに使われているが、柳月や北菓楼といった菓子メーカーもバウムクーヘンなどに道産小麦を使っている。
麦チェンで道産小麦の消費量を拡大しようとしていた矢先の2年連続不作に「残念な結果」と東農政部長もがっかりした様子。
小麦は、気温がそれほど高くなくて湿気の少ない気候の下で良く育つが、昨年の多雨、今年の高温多湿は小麦には大敵だった。
3年目となる来年の麦チェン、果たして3度目の正直になるかどうか、関係者は縋るような気持ちで早くも来年に思いを馳せている。