ニセコ周辺は、スキーリゾートとしてオーストラリア資本による開発が進んでいたが、2、3年前から中国やマレーシアなどアジア資本が開発の主体になってきた。
『世界的な山岳リゾート』『最高級コンドミニアム1万ベッド』など、ニセコ周辺は開発熱で溢れている。スキーリゾートから通年型リゾートとして世界から観光客や富裕層を呼び込もうというものだが、かつて20年以上前に、北海道で吹き荒れた国内資本によるリゾートブームとダブって見えてしまう。
倶知安町役場によると「山田地区や樺山地区が外資による開発の中心地ですが、ざっくりと数十の外資が進出しています。最近の傾向としてオーストラリア資本から中国、マレーシアの資本に比重が移っています」と言う。土地・建物の売買が進んでいるが、役場で閲覧できる土地所有権を確認するための地図(地籍図)を調べにくるのは、オーストラリア資本の不動産業者が多いという。
事情通によると、「不動産売買では売り手側が土地所有権などの資料を揃えなければならず、オーストラリア資本の不動産業者が地籍図を求めに来るのは、それだけオートストリア資本が土地売却を進めているということの証ではないか」と言う。
実際、大規模リゾートとして中国(香港)資本が安藤忠雄の設計でアンヌプリ周辺にホテルや建て売り別荘などを整備、世界的にリゾート運営を手掛けている「カペラホテル&リゾート」の一つとして今年オープン予定だし、旧東山プリンスホテルはシティグループからマレーシア資本のITNが60億円で取得、ニセコビレッジとして整備される計画。さらに花園地区でも中国(香港)資本が今後10年間で1000億円を投じる一大リゾートを作る予定だ。
ニセコ周辺は、東急や西武が開発を進めたが、今やそのブランドは一部に名前を残すのみで早晩その名前も消えていく運命にある。東急が進めていたリゾート開発を引き継いだ中国資本は「東急はしっかりとしてインフラ整備をしているので、我々はそのインフラを最大限に使うことが出来る」と言う。
開発主体が国内資本から外資に変わっても、リゾート開発が進むことは観光客の呼び込みにつながり歓迎すべきことかもしれない。しかし、かつてのリゾートブームによるバブルの爪あとを見た道民としては、悪夢再びを懼れてしまうのである。
(ニセコアンヌプリで開発が進むカペラリゾートの看板)