建物や施設の維持管理や運営、長寿命化などをトータルに考えていくファシリティマネジメント(FM)の手法が、公共建築物を多数所有する自治体などで注目されている。
とりわけ政府が新成長戦略の一つとして社会資本ストックの有効な維持管理を謳い、財務省がそのためにFMの手法を活用して実施することを明記しており、公共建築の分野で一気にFMへの関心が高まっている。
札幌市立病院では、今年度からFM手法を導入して病院建物の長期保全、長寿命化に向けて取り組みをスタートさせている。札幌市の公的セクターで本格的にFM手法を導入するのは初めてのケース。
市立病院でFM導入のリーダー役になっているのが、経営管理部総務課の施設管理担当課長の小島誠一氏。「建物を良い状態で長く使うために1年間かけて長寿命化の計画を作る。その手始めに施設情報の集約によって一元管理から取り組みを始めた」と言う。
これまで、同病院の施設管理は、「清掃」、「施設」、「警備」の3つに分かれ、それぞれで入札等を行って業者を決めていた。しかし、これでは施設に関する情報がバラバラで一元化できず、コストもなかなか下がらないという状況にあった。
同病院では、まずを3つに分かれていた建物維持管理に関する業者発注を一本化、さらに4年間その業者に総合的な管理を委託することにした。
小島氏によると、「東京都では建物を建設した設計コンサル業者も入れて、保全管理を一体化することで効果をあげていると聞いたし、大手ゼネコンの鹿島では超高層ビルに一体管理を導入しているというので、当病院にも適用できるのではないかとFMの導入を決めた」と言う。
同病院では、CAFM(キャフム)と呼ばれる施設管理・運用ソフトを使って時間単位、週単位、月単位で様々な数値管理に乗り出している。今後、建物の修繕計画など長寿命化に向けて総合マネジメントを確立していく意向だ。
(写真はFM手法を導入した札幌市立病院)