ホクノー創業60周年祝賀会 野地秀一社長「地域インフラ軸で食品スーパーの枠超える」

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 札幌市厚別区で食品スーパー6店舗を運営するホクノー(本社・札幌市厚別区)は13日、同区のホテルエミシア札幌(旧シェラトン)で創業60周年記念祝賀会を開催した。取引先など関係者約250人が出席、野地秀一社長(46)は、「60周年を迎えられたのはご臨席いただいた皆様のご愛顧、ご支援の賜物。本日を第2の創業として新たな気持ちで取り組んで行きたい」と挨拶した。IMG_6571(写真は、挨拶する野地秀一社長)

 ホクノーは、現社長の祖父、故野地雅雄氏が1955年に北海道農事として設立。当時、新札幌周辺はまだ開発されておらず野地家は広大な農地を所有、会社は馬鈴しょの生産や集荷を目的に設立され、一時は駐留米軍にポテトチップスを納入していたこともある。
 
 食品スーパーを始めたのは71年、札幌オリンピックの前年。札幌市営もみじ台団地の入居が始まったころで、団地の食インフラとして設置された「もみじ台ショッピングセンター(SC)」の核テナントになり、その後同SCを吸収、もみじ台周辺に店舗を拡大していった。
 現会長の武氏が社長時代の97年、新札幌駅前にホクノー新札幌ビルを竣工させ、不動産業に進出、経営の安定度を高めて地域密着型の食品スーパーとして地歩を築いた。
 
 しかし、もみじ台団地は造成されてから45年が経過しており、最盛期に2万6000人だった団地人口も1万人減少、65歳以上が4割を占めるなど高齢社会の縮図的なロケーション。全国各地の食品スーパーが今後遭遇する環境に真っ先に突入、同社は生き残りを賭けた新たな戦略に取り組んでいる。
IMG_6631(写真は、壇上に勢揃いしたホクノーの幹部役職員)
 
 野地社長は挨拶で、「これまでの食品スーパーを軸とした展開から地域のインフラを軸とした企業に生まれ変わる。高齢化率の高いマチで商いをしていくには安全・安心な食と暮らしと住まいをワンストップで提供できる企業にならなければならない。まず第1ステージとして食の安全安心と健康を提供する健康軸の確立に早期に取り組む」と述べ、もみじ台SCにある直営食堂を高齢者向け健康食の提供などにシフトしていく考えを示した。
 さらに第2ステージとして現在進めている高齢者よろず相談を発展させ介護支援など暮らしのサポート、第3ステージとしてサービス付き高齢者住宅、シニア向け旅行会社なども視野に入れていることを語った。
 
 来賓祝辞は、北洋銀行の関川峰希常務と三菱食品の星正寿常務執行役員。関川氏は、「人口減少と高齢化で厳しい経営環境に置かれているのは金融機関も同じ。食品スーパーはどんなに環境が変化しても必要な業態だ。生き残っていく鍵は地域に密着したナンバーワンになること」とエールを贈った。
IMG_6586(写真は祝辞を述べた関川峰希北洋銀行常務)
  
 星氏は、「食品スーパーが今後どのような形で地域に貢献できるのか、一緒になって考えながら進んでいきたい。70周年、80周年を共にお祝いできるように応援したい」と語った。
IMG_6592(写真は、星正寿三菱食品常務執行役員)
 
 その後、花崎勝道議(厚別区選出)が乾杯の音頭を取って歓談に入り、北海道教育大学生による弦楽四重奏が演奏された。また、野地社長の子息、廣太郎君によるバイオリン演奏も披露された。
IMG_6637(写真は、バイオリン演奏した野地廣太郎君)

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