札幌市議会は1日、2014年度に各会派に交付された政務活動費の収支報告書と会派や議員個人が払った新聞代やガソリン代、電話代などの領収書コピーを公開した。市の公金支出総額は3億1416万円で、使われた額は2億9462万9996円、執行率は93・8%。13年度より執行率は0・6ポイント減少したものの、依然として執行率は90%以上で高止まり。前渡しの使い切りという慣習が抜けきっていないようだ。(写真は、2014年度政務活動費の領収書コピーなどを検証する北海道市民オンブズマン連絡会議のメンバーと自治体政策研究所の森啓理事長=左ら)
政務活動費は、調査研究や研修、広報広聴のほか事務所維持、会議参加など政務活動に要する経費として市(市民)が議員1人当たり月額40万円(14年度は7月から15年3月まで2万円縮減の38万円)を所属会派に交付するもの。月額86万円の報酬とは別に支給され、総額は126万円にもなり政務活動費は事実上の第2の報酬と位置づけられる。
それだけに厳格な支出が必要とされるが、実際は曖昧な支出が多い。というのも、政務活動と後援会活動・政治活動を明確に区分けすることは難しいからだ。
政務活動費の手引きによれば、事務所家賃は2分の1、ガソリン代は2分の1から4分の1などこと細かに決められているものの、按分(あんぶん)比率は便宜上のもので実際にこの比率が妥当かどうかは疑問が残る。裁量という名の見なし基準でしかないというわけだ。
1日から市役所本庁舎15階の議会図書室で14年度分の閲覧ができるようになり、北海道市民オンブズマン連絡会議のメンバー4人とNPO法人自治政策研究所の森啓理事長が閲覧検証に入った。
閲覧の途中で、森理事長は「札幌市議は月額40万円で年間480万円交付されているが、函館市は月額4万5000円、恵庭市は年額で15万円に過ぎない。札幌市議が道内の他都市よりも20~30倍も政治活動をしているのか。どう考えても不思議で変だ」と前置きしたうえで、「3ヵ月ごとの前渡しは止めて実費として証憑(領収書コピーなど)を付けて事後的に払った方が疑念を持たれなくて良いのではないか。さらに議員が痛くもない腹を探られるのが嫌だと言うなら税理士などの第三者機関のチェックを義務付けるようにしたら良いのではないか」と提案した。
また、連絡会議の橋本勝三郎代表監事は、「市債残高などから市民1人当たり1000万円の借金がある勘定。それ故に市民の声として政務活動費は25%、10万円縮減せよという声が多い。10万円削減すると8160万円の公費が減り、これを障害者や高齢者、待機児童縮減に使った方が良い。それが市民の多くの声だ」と指摘した。
領収書のコピー枚数は8515枚あって支出先に黒塗りが多いのは人件費。しかし、その内訳が政務調査活動の補助事務と漠然と書かれており、これでは具体的に何のことなのかさっぱり分からない。この日は、民生委員もしている連絡会議女性メンバー2人も閲覧した。「家計簿を見る感覚で市民もどんどん閲覧して疑問点を議会にぶつけて欲しい」と橋本代表監事は語った。
(写真は、家計簿を見る感覚で領収書コピーをチェックする連絡会議の女性メンバー)