道南ラルズ土手光三社長インタビュー①「かく戦う!当社の戦略」

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 アークスグループの道南ラルズ(本社・函館市)は、ユニークショップつしま(同・同)の事業を引き継ぎいでから12年、現在道南地区17店舗を展開しこの地域でトップシェアを持つ。函館など道南地区は今秋のダイエーのイオン転換や来春の北海道新幹線開業などによって経済環境が大きく変化しそう。そこで、道南ラルズ土手光三社長(57)に今後の事業戦略などを聞いた。IMG_4550(写真は、インタビューに応える土手光三社長)

 ――2015年2月期決算はどうでしたか。
  
 土手 売上高は前期比101・4%だった。前半は消費増税の影響で苦戦したが、後半はスーパーアークス大縄店(函館市大縄町)のオープンもあって戻した。増収だったが新店の費用もあり経常利益は10%減益になった。ただ、売上高経常利益率は3・3%と3%台を確保している。既存店売上高は99・5%だった。
 
 ――道南地域では競争は激しくなっていますか。
  
 土手 SM(食品スーパー)を取り巻く環境は、他の道内各地に比べて比較的落ち着いている。新規出店やディスカウント店の進出などあまり大きな動きは数年来なかった。これは函館市内などに出店用地が少ないことも影響している。私たちも出店したかったが、なかなか用地が出てこなかった。一方、コンビニエンスストアやドラッグストアは小さな面積で出店できるため東日本大震災以降、一挙に増えて私たちも影響を受けている。
 
 ――道南マーケットで道南ラルズのシェアはどのくらいでしょう。
 
 土手 渡島・檜山を道南とすれば約1000億円のマーケットがあるが、当社シェアは21・5%くらいでトップシェアだ。しかし、魚長を含めたコープさっぽろグループ、ダイエーなどイオングループが展開する中で我々はまだまだ戦って伸ばしていかなければならない。
 
 ――昨年12月にスーパーアークス大縄店をオープンしましたね。
 
 土手 あの地区は函館の中でも高齢者が多く65歳以上の方が4割以上、1~2人世帯も75%以上と年配の方が多く住まわれている。歴史の古いマチの一角で病院跡地や周辺の住宅を買い増してあの規模の店になった。周辺にスーパーがなかったので喜ばれている。昨年12月6日にオープンしたが当初の予算以上の結果が出ている。これからが楽しみな店舗で街なかでのモデル店になるだろう。
 
 ――店舗では様々な新しい取り組みをしているそうですね。
 
 土手 生鮮強化で産直野菜、野菜果物のばら売り、量り売りを増やしている。焼き芋は1日100本売れている。鮮魚も地場水産品が多いのでそれを使った刺身、寿司と地場品にこだわって作っている。肉も国内和牛、豚肉などを構成比が高い。
 
 ――大縄店の生鮮比率はどの程度ですか。
 
 土手 当社はどちらかというとドライグローサリー(生鮮食品以外の一般食品類)商品の比率が高くて生鮮はあまり高くないが、大縄店は他店舗よりも5%くらい生鮮比率は高い。半分まではいかないがそれに近い比率だ。地元の美鈴商事と組んで当社で初めてドリップコーヒーも取り入れたが多い時で1日140杯も出て美鈴さんも驚いている。イートインコーナーも広く取っている。
 
 ――3月からの新年度に入っていますが全体の出足はどうですか。
 
 土手 3月は昨年の反動減があったが、4月は逆に大縄店を含めて118%くらい、既存店も109%で推移しており当初想定していたよりも3ポイントくらい高い数字だ。ただ、3~9月の上期でどうなるかを見て行かないと消費トレンドの趨勢は分からない。いずれにしても今年は昨年落とした部分をしっかり戻していく年と位置づけている。大縄店で実験していることを他の既存店にも水平展開しながらチャレンジする年にする。しっかり300億円に向かってステップアップしなければいけないと考えている。
 
 ――七飯町に新店オープンの予定ですね。
 
 土手 現在の200坪ほどの七飯店を大きくするのは、ユニークショップつしまから引き継いでからの悲願だった。700mくらい函館よりの旧5号線沿いに土地を確保しており年内か年明けに約650坪の店舗をオープンしたい。どういう店にするかを現在議論している最中だ。(以下、次回に続く)

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