高橋はるみ北海道知事(60)は4日、札幌市中央区の札幌グランドホテルで4月の道知事選に4選出馬することを正式に表明した。道政史上初の4期目を狙うことについて、「これまでの延長線上にはないということを心に刻み、世界の変化や時代の潮流をしっかり捉え、この12年間道民の皆さま方とともに築いてきた蓄積をバネに地域とネットワークの力を結集し強い決意をもって北海道の新たなステージを大胆に切り開いていきたいと考えている」と語った。
髙橋知事は、「北海道が直面している人口減少、危機突破を何としても成し遂げていく強い思いで知事選に立候補することを決意した」と表明。知事は、国や地域の形そのものが変わった明治維新や戦後復興にも匹敵する歴史の大きな波に直面しているのが現在だと強調、「大変革の時代に私たちの故郷北海道こそが世界に向けて大きく飛躍する可能性に満ちた地域であると確信している。地域の切実な思いや悩み、厳しい現状をしっかり受け止め、目指すべき未来図を道民の皆さま方と共有し輝く北海道を築いていきたい」と述べた。
具体的な公約は3月にも発表するが、会見で掲げたのはまず人口減対策として5つの政策。1つ目は未来を託す人材づくり。経済的格差にとらわれることなく成長していける教育環境を作り世界に活躍できる人材やスペシャリストを育てる「グローカル人材育成基金」を創設。2つ目は若者が活躍できる北海道づくり。市町村と連携した婚活支援や結婚、出産、希望を叶える環境整備を進め、若者や働く世代を中心に北海道を舞台に自ら夢を実現しようとする人々を呼び込む「ふるさと移住定住推進センター」を首都圏、札幌に設置。
3つ目は女性の輝く社会づくり。就労環境の整備や女性の視点を活かした新商品の開発支援、クラウドファンディングの仕組みを活用した女性起業家のための資金調達支援など。4つ目は健康長寿の安心実感社会づくりで道民の健康寿命を延ばすことを基本に医療、福祉、介護など住民密着型サービスを一体的に提供し介護待機者ゼロ、孤独死ゼロを目指すとした。
5つ目は強靭な北海道づくり。多発する災害に備え防災、減災対策の徹底や首都圏や東南海など巨大災害時に向けてバックアップ拠点の機能を一層高めることなど。こうした様々な政策を進めるため振興局と市町村が対等の立場で一体となり総合力で課題解決を図る新たな、北海道型の地域自立圏に向けた取り組みを進めたいとした。
また、産業経済分野では3つのプロジェクトを掲げた。1つ目は道産食品の輸出1000億円目指すことで、東南アジア、イスラム圏やヨーロッパにも道産食品を積極的に売り込み、食の供給拠点を形成して農林水産など一次産業の基盤強化と地域を支える中小企業の振興を進める。2つ目は外国人観光客300万人プロジェクトの展開。3つ目は新北海道発信プロジェクトで、まだ知られていない資源、文化など新たな分野で北海道の魅力を伝えるブランドを育て世界に発信していくことを掲げた。また、今年は戦後70年の節目の年になることから、北方領土返還運動の展開をしっかりと実行していくことも強調した。
集まった記者との質疑応答では、「自民党道連内の4選慎重論は承知していない」、「4選に立候補することに迷いはなかった」、「出馬を決断したのは昨年12月27日に後援会長をはじめ強い要請を受けた時」、「多選の弊害が出ないように自ら身を律していく」、「野球選手やプロレス選手のように頑強な体ではないが、基本的な体調は良好であるからこそ今まで誰もチャレンジすらしようとしなかった4選に挑戦しようと強く思った」、「私は富山生まれなので隣の6期目の石川県知事は良く知っているが、『4期なんてまだまだ青いんだ。もっともっとやって行かないと道は良くならないよ』と励ましを受けた」――などそつなく受け答えしていたのが目立った。
会見時間は丁度1時間。会見を通して、知事12年の経験から手を挙げた記者を名指しで指名するなど、その受け答えの安定感とともに政策の幅広さ、厚さなど少しの落ち度も感じられなかった。発表した骨格の政策だけでもその書きぶりは的を射ている。付け入るスキのないような雰囲気を漂わせた高橋知事の4選表明は、まるで施政方針演説を聞いているような印象でその分、ワクワク、ドキドキ感はなかった。行政家、政治家としても円熟してきた印象のある高橋知事4選目を左右する道民の判断軸は果たしてどこに置かれるのか。