経団連と道経連による第62回北海道経済懇談会が8日、札幌グランドホテルで開かれた。懇談会後に開かれた記者会見で、経団連の榊原定征会長(東レ会長)と道経連の大内全会長(北電元副社長)が揃って会見、消費税の再引き上げや原発再稼働、TPPなどについて記者の質問に答えた。会見時間は30分。両会長とも従来の主張を踏襲、目新しさはなかった。(写真は、会見する経団連榊原会長=左と道経連大内会長)
榊原会長は、2015年10月に予定されている消費税の再引き上げを「予定通り行うべき。国家的見地から見ても再増税がなければ国際的信認を失う」と述べ、「消費税再引き上げをやるとしいう前提で地域経済の影響などしっかり状況を見て必要な措置を検討すべき」とした。
大内会長も金融財政政策を総合的に行って経済に影響を与えないようにして予定通り行うべきと榊原会長と同じ見解を示した。
原発再稼働については、「原発が止まって電力コストが高い水準では国民生活への影響や産業への影響が大きい。海外への工場移転、北海道からも企業移転が懸念される。早く修正しなければならない。経団連としては原発の再稼働プロセスの加速を引き続き訴えていきたい」と答えた。
大内会長は、各業界、道民共に節電努力もしている状況だが「原発は一定程度確保して経済を元に戻すことが大事。エネルギーの多様性は必要だが原発をなくしてやって行くことはできない」と述べ、北電の電気料金再引き上げについては、「値上げによる経済への影響は望ましくない。(北電は)値上げ幅を低くする努力が必要」としたうえで、「北電は原発が止まって1年間に2000億円の化石燃料調達費用が掛かっている。2000億円は経営効率化だけでは生み出せない。再値上げ申請は苦渋の選択。泊原発を一日も早く再稼働させ電力経営や資金調達を支障ないようにすることが必要だ」と強調していた。
TPP(環太平洋経済連携協定)について、榊原会長は日本全体の経済に不可欠な要件として、「早い時期、今年度中に大きな前進を期待する」と述べる一方、TPPが農業強化につながって欲しいとも話した。
大内会長も貿易立国として貿易の窓を開けるのは必要な措置としたうえで、「TPPで北海道農業が大きな影響を受けると日本の農業全体が立ち行かなくなる。北海道農業を発展させるTPPでなければならない」と語った。
経団連の榊原会長と道経連の大内会長が揃って会見をするのは両会長就任後初めて。とりわけ榊原会長は北海道の経済界との初の顔合わせだったが、新たな提言や特段のリップサービスもなく北海道への注文や期待感の表明はなかった。また、大内会長も榊原会長と同じ意見を表明するだけで新味に欠けた。両新会長の気迫が伝わってこなかったのは残念だ。