コープさっぽろ「はぼろ店」が今年4月末にテナント出店した羽幌町の第3セクター「ハートタウンはぼろ」の土地建物の町有化が決まった。13日の定例町議会で可決されたものだが、町有化を巡っては3セク役員を務める町商工会幹部や町議を安易に救済するものだとして町民からは反対の声が出ていた。3セク役員の町議が定例会直前の株主総会で役員を辞職して議会採決に加わる裏ワザが駆使されるなど不透明感が漂う採決になった。(写真は、町有化が決まったハートタウンはぼろの商業施設)
ハートタウンはぼろは、町の中心市街地活性化基本計画に基づいて2002年に設立された3セク。資本金6千万円で町が3分の1、残りは商工会役員や町議などが出資している。同社は経済産業省や道、町の補助金など4億円と同社役員が個人保証して留萌信金から資金調達、総額7億円で05年に3階建ての施設を建設した。
しかし、1階の核テナントとして誘致した地元食品スーパーが1年経たずに撤退、その後賃料を引き下げて中央スーパー(留萌市)を誘致したものの、こちらも12年6月に撤退するなど赤字経営が続いていた。会社側はコープさっぽろの誘致を続ける一方で、これ以上の経営継続は難しいとして昨年9月、町に施設買い取りを要請していた。
3セクと言っても経営は商工会役員らが行っており民間会社。経営が成り立たないからと言って、町が施設を買い取れば経営陣の個人保証が外れ経営責任も免れることに繋がる。町が買い取らずに同社が破綻すれば施設建設に使った補助金返還の必要性も出てくる。そうなれば、3セク役員らは最悪自己破産を余儀なくされる。役員らはいずれも町のドンたちで町長や町議、さらに地元選出道議にとっては大切な票田でもある。しかもその道議は施設の建つ土地の一部を所有、同社が留萌信金から借入れしている資金の連帯保証人でもある。
そうした事情から予定調和のように3セク救済が既定路線となった。3月の定例町議会では買い取り予算が審議されたが、町民の反発を受けとめた町議たちが反対に回り裁決は可否同数。議長裁決でかろうじて可決していた。
13日の町議会で審議されたのは、3セク施設取得の議案。取得額はすでに予算措置された約1億4千万円。予算案は可否同数だったが施設取得の審議には同社役員になっている町議が採決に入れないため、反対派が1人多く否決の見通しが強かった。
しかし、同社はここで裏ワザを使う。4日に株主総会を開き役員になっている町議が辞任、個人保証も外し議会採決に参加できるようにしたのである。13日の議会では役員を辞任した町議を採決に参加させない動議や議長不信任動議、さらに可否同数の場合に現状維持の原則を適用する動機が出される異例の展開となったが、結局可否同数、再び議長裁決となって町有化が可決された。
ハートタウンはぼろの町有化は、3セク救済の不透明さを如実に示す結果になった。同社役員陣の経営責任は不問にされ町民の税金によって結果的に同社役員たち、さらに地元選出道議の個人保証も解かれることになったからだ。現経営陣が総退陣ということになれば経営刷新という名を借りた遁走に他ならない。