札幌市内のコンビニ競争が一段と熾烈になっている。その象徴的な舞台とされているのが、中央区の南8条西6丁目だ。ここには、「ローソン」と「ファミリーマート」が隣同士で営業する。買い物客の奪い合い、店舗同士の潰し合いが白熱して展開されている激戦スポットだ。チェーン本部の面子にかけて両店舗とも一歩も引けない。果たしてどちらに軍配があがるのか。(写真は、ローソンとファミリーマートが隣同士に並ぶ南8条西6丁目)
「ローソン南8条西六丁目店」の隣に「ファミリーマート南8条西6丁目店」がオープンしたのはゴールデンウイークに入ろうとする4月30日だった。もともとは、ローソンがこの土地に狙いをつけ、現店舗では取得していないタバコの免許を得たうえで店舗を移転する計画だった。
しかし、同地区はセイコーマートの本社に近く、いわば“セイコーマート村”の一角。セイコーマート本社を取り巻くようにセイコーマート店舗が3店舗配置されており、タバコ免許を得たローソン店舗の侵襲を見逃すことはできない。対抗策としてセイコーマート店舗を出店することも可能だが、既に3店舗あってさらに出店すれば同一チェーン同士の競合になってしまう。
そこで、セイコーマートグループの食品卸、セイコーフレッシュフーズが51%出資する北海道ファミリーマートが集団的自衛権よろしくローソンとの戦いに参戦したという訳。幸いにもこの土地は、セイコーマートと関係が濃い地主が所有しておりローソンの出店を抑止することができた。
もともとセイコーマートとローソンは良好な関係があった。しかし、ある時期を境にローソンはセイコーマート攻略に舵を切る。セイコーマートのシェアを奪うことによってセブンーイレブンと互角の勝負をしようという戦略に転じたためだ。
一方、北海道進出が遅れていたファミリーマートは、セイコーマートグループと組むことで進出をスムーズに進める戦略を取った。セイコーマートにとってもファミリーマートをセブン―イレブンへの抑止力にしたい思惑もあった。
こうしたチェーン同士が戦う構図は、コンビニ飽和状態になった現在では立地によって敵が変わってくる。南8条西6丁目の白熱現場でローソンが戦うのは、セイコーマートではなくファミリーマート、ファミリーマートが戦うのはセブンーイレブンではなくローソンだ。
コンビニ関係者は、「前線の競争は我々が考えている以上に熾烈。お互いに『そこまでやるのか』というような仁義なき出店競争が今後も続くのでは」と語る。コンビニ出店は攻撃と報復の消耗戦へと確実にステージを移し始めている。