札幌信用金庫(本店・札幌市)は16日、時事通信社解説委員の田崎史郎氏を講師に招いた経済講演会を札幌市中央区の東京ドームホテル札幌で開催した。34年に及ぶ政治取材で培われた政治家の人間性から観る政治と経済の営みを切っ先鋭く解説、集まった約700人の聴衆を引き付けた。(写真は講演する田崎史郎氏)
田崎氏は安倍首相について菅官房長官の言葉を引用、「地獄を見た政治家」と評し、第一次政権を投げ出して自信と誇りが粉々に砕け散った精神状態から這い上がってきた芯の強さがあると強調。「人を見る眼が格段に成長してきた」中で2012年9月に首相就任、「自民党総裁の任期である2期6年を全うするのは確実で18年9月まで後4年は安倍政権が続くだろう。アベノミクスの経済政策もその間続くことになる」と述べた。
田崎氏は、ポスト安倍について「目つきの悪い鳥取出身」の石破自民党幹事長を最有力候補に挙げ、「20年の東京オリンピックは石破首相で迎えることになるだろう」とした。田崎氏と石破氏は30年来の付き合いがあってユーモアを交えながら石破氏の人間的な魅力を紹介、「背広のポケットにいつも赤鉛筆と小さな鉛筆削りを入れている。かなりの読書家でその赤鉛筆で線を引きながら暇があったら本を読んでいる。ちょっと変わったマニアックに政治家だ」と評した。
15年10月にも予定されている消費税10%については否定的に見る。「来年上げるかどうかは今年12月上旬までに決めることになっているが、16年7月には参院選がある。衆院も同年12月には任期が来るから衆参同日選があるかもしれない。その前の年に消費税を上げるだろうか。今の政権内部は先送り前提で動いており今年末に判断するような雰囲気はない」と8割方の確率で先延ばしする見立てをした。
野党再編は8月までに維新と結いの党が合流するが、民主党は海江田代表がやめない限りゆでガエル状態が続き再編には向かわないだろうと予測していた。
札幌での講演と言うことで地元選出の町村衆議についても触れ、「北海道新幹線の札幌延伸が5年前倒しで進んでいるのは、町村さんと公明党の井上幹事長、漆原国対委員長がタッグを組んでいるため。国交省の役人への殺し文句は『君は俺たちの敵なのか』。3~5年開通前倒しは確実な情勢なっている」と舞台裏を明かしていた。