西川・旭川市長はこんな意見を表明した。
「旭川空港は市管理空港ということで7空港の一括民営化を進めていくうえで、市議会の議決を得なければならない。市議会には特別委員会が設置されており将来像について議論を進めている。7空港の一括民間委託で地域や季節に応じて空港に携わる人員の移動を臨機応変にできたり、グランドハンドリングも混雑時に機敏に対応できるのではないかと期待している」

「地域の自治体や観光関係者がSPCと連携してPRするなど、相乗効果が生まれて7空港の発展に繋がり、他の道内空港を含めて北海道全体の発展になるのではないか」

 高橋・北海道知事の発言は以下の通り。
「民間委託7空港と委託をしない6空港も活用した広域観光ルートの発信をしてもらいたい。地域ごとも需要だが北海道をまるごと発信していくことも大切。道はインバウンドの目標として日本全体の1割強を担うことを掲げている。2020年に日本全体で4000万人を目標にしているが、北海道は500万人を目標にしており、それに応じたポートセールスを道はSPCと連携しながら積極的に行っていく」

「民間委託にならない6つのローカル空港、離島空港には生活路線の役割もある。コンセッションを通じて7つだけでなく13全体の地域の魅力を活かしたオール北海道の地域活性化に資する取り組みを行ってもらいたい」

「我々はこれらを実現するために事業者としっかりと連携してプランを組むので、SPCは利用しやすい運賃で道内路線の搭乗率を高めてもらいたい。全道のバランスある地域の発展を期していくのが北海道の役割。広域観光の推進や2次交通の利便性向上などもSPCと連携しながらやっていく」

 コンセッションの狙いについて久保田・国交省航空ネットワーク部長はこう語った。
「空港にはいろんな責任者がバラバラにいる。滑走路は国、ターミナルビルは民間や第3セクター、貨物や駐車場も別の会社が運営している。それらを一本化して一人のCEOが判断することによって、例えば着陸料を柔軟に設定したり路線誘致の活動も効率的にする。そういったことをやることで空港の活性化が図られ地域の活性化に繋がる」

「北海道の7空港の運営に知恵とキャッシュを入れることによって、北海道全体の観光振興、北海道各地の振興に繋がるような提案を是非民間の自由な発想でしていただきたいと強く期待する」

 パネルディスカッションのとりまとめとして石井・北大教授はこう述べた。
「JRも含めて北海道全体の交通ネットワークの中で空港民営化を上手に位置付けていかなければならない。広域観光振興を図る前提でも、道内航空ネットワークの充実強化をどう進めていくかがポイントになる。航空運賃低下の流れを作りながら道内外、地方空港との航空路をどう作っていくか、提案を考える企業グループにとって一番悩ましい問題ではないか。当初10年くらいは、地方空港の底上げをどうするかについて相当頑張って注力しないとうまく目標が達成できないのではないか。じっくり腰を据えた対策を考える必要がある」

「事業者の選定手続きにおいて、そういった提案が評価の大きなポイントにならなければならない。これから国は応募要項、募集要項を作って配点基準を考えることになると思うが、コンセッションの流れでいうと運営権売却価格に重きを置いた配点になる可能性もある。しかし、北海道に関してはやはり価格というよりはネットワーク強化を重視する配点基準になるべきだと思う」
 次回は、民営化が先行している関西エアポートと仙台国際空港のトップによる講演をお伝えする。

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