本サイトで6月に既報した札幌・宮の森での中国系不動産会社、海潤(本社・札幌市中央区)のマンション建設を巡る地域住民との摩擦問題。地域住民らが申し立てた協定締結の調停が不調に終わり、事態は新たなステージに移る可能性が出てきた。マンションは9月には完成するが、両者の溝は解消されるのか。IMG_6600(写真は、9月に完成する宮の森4条12丁目のマンション)

 問題の発端は、海潤が宮の森地区に建設する分譲マンションが民泊目的に売却されるのではないかという地域住民の疑念。販売されるマンションは、5戸で1戸1億円という豪華さ。札幌市の街並みが一望でき、露天風呂も設置、購入者はいずれも中国系の富裕層らしい。
  
 地域住民らは、「宮の森の環境を考える会」を約50人で組織。マンションを建設する海潤に「購入者が民泊用に貸さないことを管理規約に盛り込むことを我々と協定してほしい」と要請、海潤側も3月の住民説明会の席上で民泊事業用ではなく購入者の居住用だと説明、参加者と協定書の締結を約束した。
  
 しかし、その後は「考える会」の文書による要請にも回答せず膠着状態に。痺れを切らした同会は、代理人を立てて6月中旬に札幌簡易裁判所に海潤が同会と協定を締結するように求める申し立てを行った。
 調停期日は7月21日に行われたが、海潤側は出席した代理人が協定締結には応じない強い姿勢を明らかにして調停2時間ほどで終了、不成立になった。
 
 海潤は、9月に完成するマンション以外にもこのマンションを管理するための管理事務所や北京の海潤メディアグループ会長の別荘で今後販売する住宅の見本とするコンセプトハウスの建設を進めている。また、新たに5戸のマンション建設計画もある。海潤が「民泊はない」と主張しても購入者が民泊用に貸し出す可能性は残る。
IMG_6589(写真は、宮の森2条11丁目山麓通り沿いに建設中の管理事務所)
IMG_6591(写真は、コンセプトハウスの建設現場。隣家に密接して工事が行われている)

 宮の森地区は、札幌でも高級住宅街とされ閑静な環境が地域住民らによって育まれている。考える会は、外国人排斥などという偏見からではなく、不特定多数の旅行者がこの地区を出入りすることによって町のゴミ出しや除雪のルールが守られないことの不安から海潤に民泊不可の管理規約を加えて購入者に販売することを求めているに過ぎない。

 民泊は戦略特区以外では解禁されておらず「考える会」が海潤に要請していることは常識を超えているとは思えない。調停不成立で、このまま9月のマンション竣工を迎えるのか、「民泊」摩擦は次のステージを迎える可能性もある。


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