金融とITの融合で金融に関わるサービスを生み出そうとするフィンテックビジネスの最新トレンドを紹介する「北海道フィンテックセミナー」が9日、札幌市中央区の札幌証券取引所で開催された。主催は北海道経済産業局や札幌市、札幌市IoTイノベーション推進コンソーシアム、さっぽろ産業振興財団でノーマップスの連携事業。金融やIT関係者など約100人が参加、会場は熱気に包まれた。IMG_9853(会場は最新トレンドを探ろうと約100人が集まった=写真)

『フィンテックの最新動向と今後の可能性』をテーマに基調講演したのは、一般社団法人フィンテック協会代表理事でインフキュリオン(東京都千代田区)代表取締役の丸山弘毅氏。
 会計データを使った融資モデルで中小企業向け融資が始まっているほか、AI(人工知能)がファイナンシャルプランナーの代わりに自動投資する動きが出ていることなどを紹介したうえで、「みずほ銀行は預金者に家計簿アプリを提供、API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)を使ってデータを開放、カード決済残高が足りないとアラームを発するようなサービスを始めているほか、家計簿の法人版としてクラウド会計ソフトを使ったデータを金融機関に提供、日々のキャッシュフローから融資する動きも出てきた」と話した。
 
 今後のフィンテックのビジネスモデルについて、「金融機関が単独でやるのは難しい」と述べ、「ユーザーから見ると金融は目的ではない。金融サービスは日常生活の一部であってユーザー目線で生活のいろんなサービス、IoTやウーバーのようなシェアリングエコノミーと融合していくことになるだろう。それらはオープンイノベーションで進んでいく」と方向性を示した。
 
 続いて、フィンテックベンチャーの事例紹介として、カンム(東京都渋谷区)社長の八巻渉氏が『ベンチャーだからこそ出来る!フィンテックビジネス』と題して講演。
 八巻氏はEC市場の拡大などに伴いカード支払いの機会が増えているのに、例えばスマートフォンの本体と通話料の割賦販売では延滞3ヵ月で事故履歴が付き、カードが作れなくなるなどカードを持てない人が増えていることに着目。
 
 プリペード方式でスマホにアプリを入れて生年月日や電話番号を入れると年齢制限なしでアプリ上でのバーチャルカード(Visaプリカ)が作れるサービスを始めた。「ネット利用のみだが、4000万店以上のVisa加盟店ですぐに利用可能。1分くらいでこのカードが持てるようになる。プリペード方式だから使いすぎることもない」と話した。
 八巻氏は、ベンチャーがフィンテックビジネスに取り組む強みとして①専門家不在の金融機関と組みやすい②小規模のベンチャーなので小回りを利かせて行政の許認可を取りやすい③グレーな部分でユーザーを獲得して法律を変えやすいという点を掲げていた。
 会場は、金融やIT業界から幅広い年齢層の参加者で埋まった。発展途上の最新技術への関心の高さが窺えた。
IMG_9855(写真は、講演するカンムの八巻渉社長)


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