人口2800人の留萌管内遠別町で民間資金を活用した小規模の集合住宅建設が始まる。町有地を無償貸与、プロポーザル公募で賃貸住宅建設管理のハスコム(本社・旭川市)が受注したもので、行政と民間が連携する小規模なPPP/PFIのモデルケースとなりそう。地方創生に取り組む北海道銀行(本店・札幌市中央区)と道の留萌振興局が仲介した。IMG_6622(写真は、左から道銀・山川副頭取、ハスコム・山下代表取締役、遠別町・笹川町長、留萌振興局・藪局長)
 

 道内の各地域では、働き口があっても公営住宅や民間の集合住宅が少なく担い手が集まらないなど雇用のミスマッチが顕在化、結果的に人口減少に拍車がかかる悪循環になっているケースが多い。
 
 集合住宅のニーズに応えようと自治体や民間が単独で建設しても採算が合わないため、道銀と留萌振興局がPPP/PFI方式による建設を遠別町に提案、今回初の官民連携による小規模の集合住宅建設が実現した。
 
 具体的には、遠別町字北浜にある約1200㎡の町有地を民間企業に25年間、無償貸与する契約を結んだうえで町は建設費の半分を補助、民間企業が木造2階建ての民間集合住宅(2LDK2戸、1LDK6戸)を建設、保有、管理運営するスキーム。
 
 昨年11月ころから道銀と留萌振興局、遠別町がスキーム(計画を伴う枠組み)構築に取り組み、プロポーザル公募に道銀の取引先であるハスコムが応札、7月1日付けで町とハスコムが契約を締結した。
 
 建設費は約8000万円で町の補助金は1戸につき500万円、合計4000万円。固定資産税の減免はないが、建設補助金と土地代無償でハスコムの採算が合う仕組み。8月から着工して11月から入居可能になる。
 
 28日、道銀本店で遠別町の笹川洸志町長、ハスコムの山下秀哉代表取締役、留萌振興局の藪紀洋局長、道銀の山川広行副頭取が会見。笹川町長は「町では若い人たちの住宅需要が高まっており定住対策の大きな柱になる」と述べ、藪局長は「地域の実情に応じて民間と連携して集合住宅を建てるモデルになる」と話した。
 また、山川副頭取は「小規模なPPP/PFIは誰も想定していなかった手法。今後、道内各地で展開できるモデルになるため広げていきたい」と期待感を示した。


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