約1000億円の公的資金注入を受けた北洋銀行の融資攻勢が、地域の信用金庫を直撃している。北洋には、公的資金注入の見返りに中小企業融資の拡大が数値目標として盛り込まれている。その数値目標が達成されなければ経営健全化計画がクリアできないため、北洋は信金の融資先を低金利で奪い取る仁義なき戦いを繰り広げている。


道内の金融機関は、三重苦に晒されている。貸出金の減少、金利競争、そして地域経済の疲弊だ。いずれも経済停滞という同根から発している症状だが、とりわけ地域経済の砦とされる信用金庫の体力をジワジワと奪っている。
道内23信金の9月中間仮決算によると、自己資本の積み上げに直結する純利益は23金庫中、11金庫が前年中間期を下回っている。貸出金が右肩下がりを続けており、本業収益の柱である貸出金利息も低下の一途だ。
道信金協会によると、貸出金について「企業の設備投資需要が少なく、上位業態との金利面での劣勢もあって新規取引に結びついていない」「貸出金の期中平均残高は平成19年度以来であり、マイナス2%もの減少率は平成13年度のマイナス4・9%に次いで大きい」と分析している。
道信金協会が言う「上位業態との金利面での劣勢」とは、ズバリ言えば北洋銀との金利競争で敗北していることを意味している。
日銀札幌支店の金融経済概況によると、貸出金の約定金利は地銀・第2地銀が1・759%、信金2・228%となっているが、これは表向きの話。実際の現場では「コンマの戦い」と言われるほどで0・7~0・9%台での金利競争になっている。
さる信金理事長は、「信金の融資先に金利を聞きだして、それよりも低いレートを提示して信金の融資先を奪っていくのが今の北洋のやり方だ」と強く非難する。新規取引ならまだしも、信金の融資先を低金利で奪っていくのは、融資はがしとも言える。
貸出金が伸びない中での低金利競争は、まさに体力勝負の消耗戦。預金量6兆6926億円の北洋銀と最大で7159億円の旭川信金、最小で965億円の北空知信金ではまともに太刀打ちできる訳がない。
前出・理事長は、「金融機能強化法で資本注入を受けた北洋銀は中小企業向け融資に850億円を振り向けるという数値目標のため、金利面だけを追求した融資姿勢が強く目立つ。これは、数年前にメガバンクによるばら撒き型ビジネスローンにより融資先中小企業のキャッシュフローを悪化させたことと同一の事態を招く可能性がある」と警告する。
地域経済の衰退と北洋銀による金利競争で、地域に血液を送る役割を担っている信金の血管が一段と弱まっている。
(写真は、道内信金の9月中間仮決算の数値)