公開会社を育てるベンチャーコミュニティのインディペンデンツ(本社・東京、國本行彦社長)は7日、札幌証券取引所で道内ベンチャー企業2社の事業計画発表会を開催した。公開を目指す企業やベンチャーファンド、証券金融業界などから約50人が参加した。発表会では、前日本ベンチャー学会会長の松田修一早大商学部前教授)が基調講演、その後サケの軟骨から医薬原料や健康食品原料を抽出する技術を開発した「バイオマテックジャパン」の工藤義昭社長とモバイル技術を使ってロードヒーティングや下水処理を遠隔監視するシステムなどを開発した「エコモット」の入澤拓也社長がそれぞれ講演した。(写真は、松田修一氏=左と工藤義昭氏=右、入澤拓也氏=下)
 
 松田修一氏は、「日本のイノベーション」をテーマに講演。太陽電池製造装置のNPCやリチウムイオン電池の設計開発を支援する東洋システム、バイオ製薬のシンバイオ製薬など、生まれながらにして世界を狙える『ボーン・グローバルベンチャー』が育ちつつあるとして、「事業化に向けて様々な制約のある日本をこうしたベンチャー企業のパイロットテスト国家と位置づけ、それをベースに世界に向けて収益モデルと資金モデルを確立すべき」と述べた。また、IPO(新規株式公開)の数は国力と一致しているとして、公開企業数は経済イノベーションの原点と強調していた。
 
 事業計画発表会では、バイオマテックジャパンの工藤義昭社長が、サケの頭部にある軟骨から副作用のない坑がん作用や抗アレルギー作用が期待されるプロテオグリカン、潰瘍性大腸炎に効果があるⅡ型コラーゲンを効果的に抽出する技術を開発したことを紹介。
 
「当社の親会社は建設資材の角弘。私は技術者ではなかったが、建設業の新分野進出の必要性に迫られ、以前から有効成分が含まれているとされたサケの頭部にある軟骨からプロテオグリカンとⅡ型コラーゲンをアルカリでたんぱく成分を壊さずに抽出できる技術を釧路工業技術センターなど3者で開発できた。健康食品原料や医薬品原料として用途を広げたい」と市場の広がりに期待を持っているとした。
 
 続いて、ロードヒーティングの24時間遠隔監視システムなどモバイル機器を使った省エネ化、省力化を提案できる「MtoM(マシン・トゥー・マシン)市場」で新しいビジネスモデルを創造しているエコモットの入澤拓也社長が講演。
 
「現在、当社の販売先は75%が建設市場だが、省エネ化、高効率化を目指すクライアントは医療介護など多方面に及んでいる。機器・機械類をモバイルで結び遠隔操作するMtoM市場は、急速に伸びているが、私はMtoMを『魂を吹き込む作業』と位置づけて、人や環境に役立つことを見つけ出していきたい」と語った。
 
 水門を自動開閉するシステムも川崎市でメーカーと共同の実証実験を行っているという。「モバイルを世のため人のために使いたい。モバイルはすべてに繋がる。MtoMのソリューションカンパニーとして、『セコム』のような企業に成長したい」とした。
 
 インディペンデンツクラブでは、9月にも道内企業の事業計画発表会を札幌で開催する計画。


この記事は参考になりましたか?