札幌市中心部から近くて便利な丘珠空港の存亡がかかるA―netの撤退まで後10日に迫った。7月1日から、丘珠空港の8割程度の発着があったA―netが全面撤退して新千歳空港に集約されるからだ。7月1日以降は、道とJALが出資するHAC(北海道エアシステム)の数便しか発着がなくなり、丘珠空港の利用者は激減するのは必至の情勢。

道はHACの丘珠発着を増やそうとしているが、肝心のJALの会社更生法申請でHACの事業計画が立てられない事態に陥っている。
丘珠空港は札幌駅前から車なら約15分で着き、札幌市民や航空路線の発着地である道内地方都市周辺に住む住民にとっては生活路線として使い勝手が良い。新千歳空港は札幌から車で約1時間必要で、ビジネスや医療など道民生活と密着した航空路線として丘珠空港の優位性は揺るがない。
その丘珠が存亡の危機を迎えているのに、大株主の道がJALに頼るあまり、何の手立ても打てない袋小路に入っている。
例えば、丘珠にあるA―net専用の航空機格納庫をどうするのかについても進展は全く聞こえてこない。この格納庫は、A―netの新千歳空港への集約で無用になるのは明らかで、それならばHACが譲り受けてもよさそうなもの。しかも、A―netの強引な丘珠撤退のことを考えれば、道は無償で格納庫の譲渡を強く要求すべきだろう。
丘珠空港の周辺整備を担当してきた札幌市と道の足並みは必ずしも揃っていない。丘珠は、自衛隊と民間の共用空港だが、このままでは民間の撤退によって自衛隊の専用空港になってしまうかも知れない。
なお、丘珠には道内新聞社やテレビ局のヘリコプターが常駐しているほか、かの伊藤組土健のジェットも丘珠が本拠地。もっとも、伊藤組は3機あったジェットをすべて売却してしまったため、格納庫も早晩取り壊されることになるだろう。
(写真はA―netの格納庫と伊藤組の格納庫)

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