拓銀刑事事件で実刑判決のソフィア代表中村揚一氏が出所、札幌で再起の活動開始

金融

 北海道拓殖銀行刑事事件で実刑判決を受けたソフィアグループ元代表の中村揚一氏が昨年12月に刑期を終えて出所、専門学校経営で再起を期そうとしている。バブル期に一世を風靡した中村氏だが、拓銀破綻から14年目の今年、中村氏は事業家として再起の芽を掴むことができるか。


 1997年に破綻した拓銀は、バブル期の融資が適正なものだったかどうかが民事、刑事の両面から司法で争われた。
 民事では、ソフィアやカブトデコムなど拓銀がインキュベーション(新興企業育成)で成長させようとした融資の是非が問われ、貸し手側の拓銀役員らの賠償責任が最高裁でも認められた。
 一方、刑事は時効の関係もあってソフィア1本に絞って当時の拓銀会長と頭取、それに中村氏の3人が特別背任と任務違背を問われていた。札幌地裁では無罪だったが、2006年8月の札幌高裁では逆転有罪判決が出て、09年11月には最高裁が高裁判決を支持する判断を示し実刑が確定した。
 山内宏元会長、河谷禎元頭取は懲役2年6ヵ月、中村ソフィアグループ元社長には懲役1年6ヵ月という判決で、山内氏は高齢と持病で刑の執行を猶予されているが、河谷氏と中村氏はそれぞれ収監された。河谷氏は釧路、中村氏は函館に送られた。
 中村氏は刑を終え昨年12月に札幌に戻ったという。
 ソフィアグループは拓銀破綻以降に温浴施設経営のワンディ・スパなどに分かれたが破綻し、学校法人中村学園札幌ビューティ・メイク専門学校が唯一と言っても良い事業として継続されていた。
 しかし、その専門学校も継続が難しいという判断があって、生徒たちは他の類似の学科を擁する専門学校に振り分けられ、学校法人中村学園は法人格のみを残す事業体になっているという。
 中村氏は、新たな学科を設置して専門学校を再スタートさせたい意向のようで、一部には元北海タイムスオーナーで京都科学技術専門学校を運営していた山崎種三氏との連携を模索しているとも言われる。
 山崎氏を巡っては、最近読売新聞から『北海タイムス』の商号を取得したと伝えられており、中村氏の再スタートと関連があるのかどうか興味を引いている。

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