「リニア談合事件で応募ゼロ」――リニア問題が札幌市内の再開発事業に思わぬ影響を及ぼしている。「札幌駅北口8・1市街地再開発準備組合」(田中重明理事長)が、一般財団法人都市みらい推進機構に委託して実施した特定業務代行者の公募。本命とされる大成建設(本社・東京都新宿区)が、手を挙げるに挙げられなかったからだ。(写真は、再開発予定地の札幌駅北口の北8西1地区)
札幌駅北口8・1地区の再開発は、札幌市から第1種市街地再開発の都市計画決定を受け、約3545坪(約1万1700㎡)の敷地に高さ180mの高層マンションとホテル、オフィス、商業施設を備えた地下2階、地上50階、延床面積約3万6818坪(約12万1500㎡)の複合施設を建設することが決定している。市は事業費約482億円の一部約84億円を補助金として支出することになっている。
特定業務代行者とは、再開発計画の施工を担うもので、準備組合から委託を受けた都市みらい推進機構が公募して決定する。同推進機構は北口の再開発について3月5日から公募を開始、4月20日に締め切った。札幌駅北口8・1再開発準備組合の事業協力者として一緒にプランを練ってきた大成建設と伊藤組土建が応募して決まると見られていたが、折も折、大成建設がリニア談合事件で各自治体から指名停止処分を受けた時期に重なった。今回の再開発は、公共工事ではないものの補助金が支出され準公共工事と位置付けられる。このため、大成建設は応募を自粛、伊藤組土建も応募しなかったとみられる。
指名停止期間は数ヵ月間とされ、それが過ぎたころに札幌駅北口8・1再開発準備組合は再度、都市みらい推進機構を通じて公募を実施する見通し。大成建設と伊藤組土建は再公募では手を挙げるとみられているが、工期の遅れは避けられそうにない。