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 北海道と社団法人北海道ファシリティマネジメント協会は1月27日、札幌エルプラザで2011年新春セミナーを開催した。官公庁や企業関係者など約300人が出席、「FM手法による北海道再生」をテーマに講演が行われた。


 FMは、建物施設の長寿命化や効率的な運用、職場環境などソフトとハードの両面から“最適環境”を追求する考え方。かつて、QCなどが日本の製造業の実力を高める役割を担ったが、FMは人が関わる組織や建物全般の品質向上を指向したもので、日本の競争力を高める手法として注目を集めている。
 基調講演で社団法人日本ファシリティマネジメント推進協会会長(JFMA)の坂本春生氏(元札幌通産局長)は、「今年はJFMAの設立15年の節目の年。FMは重要な経営手法として注目されており、JFMAが思い切って飛躍するためのステージアッププランを策定し、FMを根付かせ深める活動を展開したい」と述べた。
 そのひとつとして「FMを経済社会の常識語にする」と強調、FMを分かりやすく説明できるように坂本会長自らビジュアル化した一枚の資料を作成、ひと目で理解できるように工夫を重ねていく考えを示した。
 坂本氏は、「FMは大きな象。ある人は頭がFMだと言い、ある人は足がFMだと言うようにFMに取り組む人によってFMの考え方が違う。私はFMの全体像が分かるようにしたい」と語りかけた。
 坂本氏の念頭にあるのは、民主党政権の代名詞にもなった“事業仕分け”という言葉。「1年半ほど前には“事業仕分け”という言葉は誰も知らなかったが、この言葉を聴くとある局面が眼に浮かんでくるほど分かりやすい。それがあっという間に常識語になった理由だと思う。FMもいつでも、どこでも、誰でも分かる常識語にしたい」
とアピールを繰り返していた。
 また、坂本氏は地域活性化にFM手法を導入するメリットについても言及、「かつて観光と言えば、ハコ物中心だったが、今は観光地を擁する地域の人たちのアイデアや心意気をどうやって地域開発に生かすかが重要になっている」とし、「北海道は魅力があって、品格のある観光地であって欲しい。北海道はアジアの観光の宝なので、例えば観光審議会などには広く全国、アジアからメンバーを募って広い視野で北海道観光を議論して欲しい」と全体最適を目指すために様々な横串を通すことが必要と注文した。
 その後、特別講演として財団法人倉敷中央病院施設グループ中央材料部担当部長の藤本義秋氏が、総合病院にFM手法を導入した事例を紹介した。


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