道北アークス・六車聖新社長インタビュー「強い販売力と惣菜強化で成長」「ウェスタンは来期改装」

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 アークス(本社・札幌市中央区)グループ、道北アークス(同・旭川市)の新社長に六車聖氏(42)が就任してから5ヵ月が経過した。会長に退いた六車亮氏(72)の長男で、社長交代は27年ぶりとなり、世代交代を強く印象付けた。旭川に本社を置く地場系最大手のスーパーマーケットチェーンとして、市民を対象にした「大試食会」を開催するなど、ファンづくりに向けた新たな展開も始めている。六車聖新社長に販売戦略や店舗戦略などをインタビューした。〈むぐるま・さとし〉…1982年11月生まれ、42歳。慶応大経済卒、CGCグループのスーパーに勤務した後、2015年4月に道北アークス入社、2018年5月執行役員販促企画グループ統括、2019年5月取締役営業本部事業推進室長、2022年5月、常務取締役営業本部事業推進室長、2025年5月社長就任。

 ――就任の抱負を聞かせてください。

 六車 当社は、「安心して楽しく買い物が出来る店を目指します」という運営方針を掲げています。このことを、しっかりと引き継ぐとともに、一歩進めて売り場はどうあるべきかを常に考える風土を浸透させたい。お客さまが期待する売り場になっているかどうかを、絶えず意識する組織にしたい。ただ、現状は、店舗によって運営レベルの差があるので、もう一段レベルを引き上げていきたいですね。

 ――道北アークスは、唯一の地場発祥のスーパーですね。

 六車 下川町で個人商店として創業し、1965年に名寄市で設立されたのが当社です。時代とともにさまざまなスーパーを吸収して、地場の最大手のスーパーになりました。資本はアークスですが、地域に根差した唯一のスーパーと言えると思います。2012年6月に道北ラルズと合併した時には、屋号が多くて運営が難しかったと思いますが、現在は、ウェスタン、ふじ、スーパーアークス、ベストプライス、ラルズマート、ダ・マルシェの6つの業態に集約されました。店舗数は42店舗です。

 ――営業エリアの消費動向は。

 六車 買い上げ点数が、なかなか伸びない状況が続いています。客数は、第1四半期は前同期間で同じ水準でしたが、第2四半期から鈍化しています。お客さまは、買い物をする日をお買い得日などに固定化する傾向が出ています。

 ――旭川は、価格競争が激しい地域です。

 六車 今は、かなり落ち着いてきたと思います。以前は、地場スーパーの競争が激しく、当社店舗の横に競合他社が店舗を出すこともありました。そういう流れがあったことから、価格競争が激しかったと思います。また、当時は、札幌までの時間距離が長かったので、メーカーは、旭川に出先の営業所を置いていましたから、旭川特別価格などを、交渉で引き出していたこともあって、道内の中でも旭川は、低価格の地域でした。今は、流通再編が進み、メーカーも旭川から撤退するなどして、こうした特別価格が出る環境ではなくなりました。

 ――ディスカウントストア(DS)も多いですが、どう差別化を図っていきますか。

 六車 アークスグループの良い事例を共有して取り組んでいますし、デリカの開発担当も本部に配置して強化しています。開発商品をデリカセンターで生産したり、店舗のインストア生産をしたりして惣菜差別化に繋げています。

 ――道北アークスの強みは、どこにありますか。

 六車 販売力だと思います。やるとなった時の販売力や売り場の展開力には、強いものがあります。これは、伝統的に培われたものだと思います。惣菜強化と強い販売力を両輪にして展開していきます。

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