札幌マチナカ点描、昭和が薫る南4条西16丁目界隈

社会・文化

 札幌市内には、ビルの谷間に、昭和の時代に建てられた木造の住宅や雑居ビルがところどころ残っている。そんな中、南4条西16丁目には、昭和のコンクリート造の建物が凝縮して残っている珍しい界隈だ。(写真は、旧「札幌医科大学附属病院第2看護師宿舎」)

 札幌医科大学の南側に位置する南4条西16丁目。マンションや戸建て住宅が広がり、一般的な市街地の顔を見せている。この街区には、年代を重ねたコンクリート造の建物が、少なくとも3棟建っている。旧「ほしい小児科・整形外科」、旧「札幌医科大学附属病院看護師宿舎」、旧「北海道ドレスメーカー女学院」がそれで、目下、解体工事に入っているのが、旧「ほしい小児科・整形外科」。

 旧「ほしい小児科・整形外科」の建物は、昭和47年(1972年)10月に新築された鉄筋コンクリート造、地下1階、地上4階建て、延べ床面積約448坪(1480・75㎡)。同小児科・整形外科は、2025年3月に廃止され、解体工事が同年7月から始まっている。

(写真は、解体が進んでいる旧「ほしい小児科・整形外科」)

 その東側には、旧「札幌医科大学附属病院看護師宿舎」が建っている。平成26年度(2014年度)に役割を終えたが、今も当時のままの姿で残っている。そのうちの第2宿舎は、昭和49年(1974年)12月に新築された鉄筋コンクリート造、7階建て、延べ床面積約439坪(1451・88㎡)。古びたコンクリートと赤さびの付いた非常階段のコントラストは、時代を逆戻しするような不思議な力を放っている。

(写真は、旧「北海道ドレスメーカー女学院」)

 仲通りに入ると、旧「北海道ドレスメーカー女学院」の建物が残っている。北海道の服飾専門学校のパイオニアとして知られる同学院がここに学校を建設したのは、昭和37年(1962年)12月。鉄筋コンクリート造、地下1階、地上6階建て、延べ床面積約637坪(2105・19㎡)。既に校舎は移転して、この校舎は廃校になっているが、玄関には、校名の銘板が今も掛けられ、2012年の学校見学の案内も玄関の窓に掲げられたままになっている。役目は違えども、これら3つのコンクリートの建物は、この街区の歴史そのものと言えそう。そこにいた人たちの息吹まで、時を越えて薫ってきそうな感じがする。

関連記事

SUPPORTER

SUPPORTER