道内で生活保護を受給している人は2011年7月時点で16万5038人と過去最多となっていることが厚生労働省の統計で明らかになっているが、釧路市では食品スーパーなどがパートを募集しても十分に人手を確保できない状況が続いている。釧路市は市民18人に1人が生活保護受給者だが、求人募集数に満たないのは生活保護支給額が最低賃金よりも高いという状況が影響していると見られる。
 
 道内の受給者は前年同月と比べて4・5%増加した。所得の低い単身高齢者や雇用情勢悪化で雇用保険需給中に働き口を見つけられず失業状態が続いて生活保護を受けるケースも増えている。
 
 政令市の札幌市が6万8116人、中核市の旭川市が1万3450人、函館市は1万2634人になっている。人口千人当たりで見る生活保護率は、北海道が27・1人、札幌市は31・3人で最も多いのは大阪府の47・9人。
 
 釧路市は人口18人に1人が生活保護を受給しているというが、某食品スーパーがパート従業員を20人ほど募集したところ、定員を満たすことが出来なかったという。担当者は「面接に来ても途中で辞退する人が多かった」と語っている。
 
 こうした状況が出てくるのは、道内の最低賃金との関係があると見られている。今年10月6日から道の最低賃金は691円から705円に14円アップした。時給705円で8時間労働の後40時間の残業をしても得られる賃金は10万7212円。生活保護をフルで受けると10万7411円で、わずかだが生活保護が上回る状態。
 
 最低賃金がアップしても生活保護に及ばない状況が続けば釧路市で求人を行った食品スーパーのようなミスマッチとも言える状況が続くものと思われる。
 
 一方で、道の最低賃金は東日本大震災で被災した福島県(658円)、宮城県(675円)、岩手県(645円)よりも高い。地域事情は異なるものの、最低賃金と生活保護の逆転現象は雇用の現場に少なからず影響を与えている。


6人の方がこの記事に「いいんでない!」と言っています。