カルビー(本社・東京都千代田区)は、開町100年を迎えた斜里郡小清水町の提案を受けてカルビー初のポテトチップスを再現した復刻版を製造した。かつてカルビーの工場が小清水町にあったことが縁で実現したもので、販売はセイコーマート(同・札幌市は中央区)が一手に引き受けている。セイコーマートは、「道の駅はなやか小清水」に出店しており、同町との関係が深い。(写真は、セイコーマート店舗で販売されている「カルビーポテトチップス復刻版」)

 小清水町は、かつて斜里と一体の自治体だったが、鉄道のルートを巡って意見が対立し新たな自治体として独立、今年が開町して100年目にあたる。10月7日には町内で記念式典が開催された。

 開町100年記念としてカルビーのポテトチップス復刻版の製造が実現したのは、かつて同町にカルビー初のポテトチップス工場が稼働していたため。その工場は、もともとはマッシュポテトを製造していたリーダース食品の工場だったが、あみ印食品が工場を承継、その後カルビーが買収して1975年に同町でとれたジャガイモを利用した同社初のポテトチップスの生産に繋がった。

 当時のカルビーの工場には社員食堂もあって、町でも一番の工場だったが、90年代後半に生産休止。現在、同町で収穫されたジャガイモは九州に運ばれ、鹿児島工場でポテトチップスに加工されている。

 43年前のうすしお味を再現した復刻版は、パッケージも当時のもので、内容量も現在主流になっている60gより多い当時の90gで販売。同町で収穫されたジャガイモ「ぽろしり」を使ってカルビー千歳工場で製造した。価格は税込み179円で7万2000個限定。販売は、同町の誘致で「道の駅はなやか小清水」に昨年11月に出店したセイコーマートが一手に担っている。

 久保弘志町長(57)は、「あのころのカルビーの工場の裏には、袋詰めされなかった規格外のポテトチップスが置かれていた。当時中学生だった私たちはやんちゃな盛りで、それをいただくのが楽しみだった」と話す。同町の町民ならずとも復刻版の味に、往時を思い出す人は多いだろう。


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