10月7日にオープンした「札幌市民交流プラザ」にある不思議なアートが人目を引いている。天井から吊り下げられて空中に浮かぶ黄色い幾何学的な立体と平面のアート、さらに壁に埋め込まれた51個の不規則なパーツ。それらは3部作『凹みスタディーー札幌のかたちを巡る2018ー』と名付けられたアート作品だ。(写真は、「札幌のかたち」)
(写真は、空中に吊り下げられた「札幌の凹みスタディ」と壁に埋め込まれた「札幌のかたち図鑑」)

 3作品は、よくよく見るといずれも札幌の形を表していることがわかる。作者はドイツ・ベルリン在住の彫刻家で札幌出身の谷口顕一郎氏(1976年生まれ)。谷口氏は、航空写真をもとに「札幌のかたち」を取り出した。「僕の目に映った札幌のかたちは、人間と自然の境界線がせめぎ合いつつ、互いの配慮を忘れないそよそよと触れ合っている心遣いがある」と市の広報誌の対談で答えている。

 そして、その「かたち」を札幌の街を流れる河川に沿ってパーツに切り分けたのが51個を並べた「札幌のかたち図鑑」。壁に埋め込まれた街のパーツを見ていると頭の中でパズルのように組み合わせているためか、数々の造形は、どこか身近で親しみを感じさせる。

 全51のパーツを蝶番で繋ぎ、様々な角度で折りたたんだのが、「札幌の凹みスタディ」。黄色い花束を連想させた彫刻だ。「札幌の凹みスタディ」を展開すると「札幌のかたち」になり、さらにそれを分解すると「札幌のかたち図鑑」になる。3作品は連続性をもって私たちに訴えかけてくる。作品は、究極の軽量化を目指したために航空機などに使われている炭素繊維を利用したという。3部作アートは、人と街と自然が巡りあう札幌の新しい交流拠点を象徴しているようだ。


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